龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

日本再生への道


先日、長い付き合いの取引先が不渡りを出し破産することになった。私も暑い最中、納めている商品を引

き上げに三往復もすることになり大変だった。しかしこの頃の傾向なのか破産することになった会社の社

長はさっぱりしたもので意外と元気である。会社、個人とも破産しても当面の生活資金を確保しているか

らだろうか。そして、近いうちにまた商売を再開させようと目論んでいるのだろうか。いずれにしても景

気は最悪だ。



政府は景気がかなり良くなっているような発表をする。一部大企業はそうなのかも知れない。しかし中

小、零細企業は潰れていく一方である。淘汰と言うより全滅に向かっていると言ったほうが正しいような

状況だ。何より個人消費に回復の兆しが見えない。物価は確実に上がってくる。消費者金融で5社以上か

ら借りている人間が230万人もいる。家計を維持できない人間がいかに多いかということだ。家計を支

えきれないと家庭は当然破綻し、離婚が増える。子供たちが教育される環境は悪くなる一方で、学校です

らろくに子供に勉強を教えていない。自殺者は年間3万人を越えて増え続けている。異様な犯罪が頻発し

ている。日本は無茶苦茶だ。それとも私はこの国の現状を悲観的に考えすぎているとでも言うのだろう

か。



金が全てだとは言わないが、日本の戦後の発展と安寧は結局金(経済)でしかなかった。だから経済が駄

目になった今日、文化や道徳を含めて国民の質まで総崩れで劣化していくのはむべなるかなという気がし

ないでもない。マルクスが言ったように資本主義は共産主義へ移行するプロセスの一段階なのかも知れな

い。日本の資本主義は既に成熟を過ぎ去った。我々の生活や価値観を変えるような技術革新が見込まれる

分野以外は成長はありえない。環境問題等を考えると日本は大きなパラダイムの転換をはかるべき時を迎

えている。でも政府はアメリカに追従するだけで国民生活の明らかな悪化を無視し、グローバルかつ歴史

的な視点で国家としての進むべき大局的な方向性を指し示すことが出来ない。



先ず日本は地方をもっと活性化させることを真剣に考えなければいけない。地方経済は商店街や地場産業

とも死んでいる。ワーキングプアと言って仕事を持って一生懸命働いていても生活できない層の人たちが

地方にはたくさんいる。地方分権などと言っても行政は税収を安定させることしか考えていないのではな

いのか。今までの政治は地元出身の政治家が中央から予算を取って地方に道路や保養所を作り公共工事

利益を還元させるやり方が一般的だった。しかしこの小さな国土の日本にあっても1時間に1本しか電車

が来ないような寂れた地域が無数にある。人口が少ないからだ。経済や文化の活力を生み出す基本は、そ

の地域に定着する人間の数だ。立派な道路や図書館があっても利用する人間が少なければ意味がない。人

間を離れて生まれるものは何もない。一方、私も住んでいたことがあるが東京は、なんであれほどまでに

人間が多いのか。そしてその必要性があるのだ。日本の再生は地方の活性化にしかなく、そのためには東

京に過度に集中した人口分布を拡散させる以外に根本的な解決はあり得ないと思う。21世紀にもなって

も未だに地方出身者の若者が出稼ぎのように東京に集まり、盆や正月には民族大移動のごとく帰省ラッシ

ュが起こることを恥ずかしいと思わなければいけない。そのための方策は大企業の法人税率を東京とそれ

以外の地方で差をつけるべきだ。資本金1億円超の法人に対する法人事業税への外形標準課税も止めてし

まえばよい。その上で各地方が独自の行政サービスでもって優良で雇用力のある大企業の誘致を争えばよ

い。そもそも企業の本社が大都市に集中している原因は情報を迅速に得られる要因が大きかったはずだ。

しかし今日ではインターネットによって地理的な情報力の差はなくなっている。支払う税金が節約できる

となれば株主に対する責任からも企業が各地方に分散するのは当然の成り行きだ。登記上だけ本社の所在

地が移転されて人口分布の変動には結びつかないと言われるかも知れない。確かに短期的にはその可能性

があるが10年間ぐらいのスパンで中、長期的に計画されるべきだ。各地方自治体が企業と力をあわせ時

間をかけてその地方を発展させてゆく土壌を作ってゆけばよい。地元出身の学生はわざわざ都会に出てゆ

かなくとも故郷で就職できるのが本来の在り方だ。親元から会社に通えば出費が少なくてすむので一定収

入における可処分所得の割合が増え、貯蓄や消費も増えるであろう。企業も社員を正社員として雇いやす

くなる。また地元で結婚して親と二世帯住宅で住む人が増えれば、小さな子供を持つ母親は仕事がしやす

くなるだろうし何よりも少子化対策になる。地方の人口が徐々に増えていけば住宅や不動産は上向いてく

るであろうし、商店街も昔の活気を取り戻すかも知れない。とにかく地方が活性化すれば確実に日本全体

が良くなるのである。そして日本が元気を取り戻し、健全化していくためには人口分布を拡散させてゆく

強力な措置を講ずる以外に方法はないように思われる。国民の視点に立って中、長期的な計画を立てるこ

とが唯一の日本再生への道なのだ。