龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

それでもボクはやってない

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痴漢冤罪についての映画である。『Shall we ダンス?』の周防正行監督が11年ぶりに“撮らないわ

けにはいかない”と使命感を持って作った初めての映画だということである。

私はこの映画を見に行って、他の観客たちがどのような組み合わせで来ているのかということに興味を持

った。通常、大抵の映画はカップルでの客が多いものである。しかし痴漢冤罪の映画をカップルで見ると

いうのはちょっと考えにくいと思われたからだ。また女性客がどれほどいるのかということも、まあ私に

とってはどうでもいいことなのだが気になった。私が見に行った時は、平日のレイトショーだったせい

か、客の入りは2割程度だった。ほとんどが私同様男性の一人客である。しかし女性の二人連れ客もちら

ほらと見られた。うーん、女が二人で痴漢冤罪の映画を見て、鑑賞後に一体どんな話しをするのだろう

か。司法もしくはマスコミ関係者なのだろうか、それともよほど意識レベルの高い女性なのかも知れな

い。驚いたことにカップルで見に来ている客も、私がざっと見回しただけで二組いた。素晴らしいカップ

ルではないか。男女双方ともに一定レベル以上の知性、社会意識の持ち主でない限り、このような映画を

カップルで見に来るということは絶対にあり得ないことだからだ。私が長々とこのような映画の内容と関

係ないことを述べるのは、それなりに意味がある。私は別にこの映画の宣伝をするつもりも、この映画を

見た自分自身を自賛するつもりもない。しかしおそらく間違いなく“冤罪”という言葉は近い将来、何年

か後の我国のキーワードになっているであろうと思われるからだ。もちろん冤罪事件は昔からあった。し

かし殺人などのマスコミを賑わすような事件ではなく、痴漢やDVなどのいわゆる微罪の冤罪が何年後か

の、この国の本質となって立ち現れてくることは間違いない。今でも既に、充分すぎるほどその兆候は現

れているのである。しかし様々な方面から世間一般に表面化しないように圧力がかけられ、隠蔽されてい

るのだ。隠蔽され押し込められたものは、いずれ噴火するのが摂理である。そんなこともわからないの

か。

だから、この映画を観た者はたとえ私のように男性一人客であっても進んでいるのである。権力あるいは

マスメディアによって隠され、見えなくさせられたものが我々の日常にとって本当は最も危険であり、時

には命すら奪われてしまうほどのものだということがわかるだけの知性がある者は、すべてこの映画を観

なければならない。

主演の加瀬亮についても、少し書きたい。彼を初めて見たのは3年ほど前の田口ランディ原作の『アンテ

ナ』という映画であった。『アンテナ』は若手監督による気合の入ったいい映画だったが、主演、加瀬亮

の演技は役柄にかなりのめり込んでいて印象的だった。ちょっと霊媒的なものを感じたほどだ。今回の

それでもボクはやってない』を観て改めて感じたのは、彼の演技は決して上手いといえるものではない

かもしれないが、とても心がこもっているように思われ好感が持てるのだ。それに何よりもいい顔をして

いる。何ていうか役者の顔だ。才能と将来性を感じさせるいい役者だと思う。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070202-00000033-sanspo-ent