生きること、書くこと 98
痴漢(準強制わいせつ罪)で逮捕されていた福岡高裁宮崎支部判事の一木泰造容疑者が宮崎地裁に起訴さ
れた。一木被告は容疑を認め、被害者に謝罪しているという。
前回、前々回の記事においてこの事件についての感想を述べたが、私の認識は甘かったと認めざるを得な
い。まさか現職の裁判官が痴漢をするとは、正直なところ思いも寄らなかった。想像以上に司法界内部の
腐敗は進行しているということであろうか。
しかし痴漢の私人逮捕や警察での取調べに問題があり、冤罪発生の温床となっている事実は依然として変
わらない。痴漢被害をでっち上げるだけで、いとも簡単に20万や30万の示談金を手に入れることが出
来るのである。もちろん“普通の”女性は絶対にそのような嘘はつかない。しかし世の中には痴漢をする
男が存在するのと同様に、そのような悪質な嘘を平気でつく女も確かにいるのである。また元々は普通の
感覚の女性であっても金に逼迫して精神的に追い詰められれば、示談金目当てに虚偽告訴をちらつかせる
ことは、今日のような大不況の社会状況では十二分に考えられることである。
表面化していないだけでそのような冤罪事件に巻き込まれ、多額の示談金を支払わされ泣き寝入りしてい
る男性は相当数いるのではないかと、私は想像するがどうであろうか。実際に警察の取調べにおいても、
痴漢行為をやったか、やっていないかという事実関係よりも、やったことを認めて罰金もしくは被害取り
下げのための示談金30万円ほどを支払った方がすぐに釈放してやることも出来るし、一般人であれば会
社や家族にばれることもないというような説得の仕方を恐らくはしているはずなのである。これでは虚偽
告訴を誘発するような社会システムにあるといえるのではないか。
今回のように裁判官や学校の教師などが痴漢をするとセンセーショナルにモラルの低下が声高に糾弾され
る。その点については私もまったく同感だが、もう一方でまったく無実の人間が犯人に仕立てられても痴
漢行為を認めざるを得ないような人権を蹂躙した制度に目を瞑り続けることは、やはり日本が欠陥社会の
国であることの表れであるように私には感じられる。