龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

1割の疑い

今回の民主党代表選挙結果について、巷間伝わる、いわゆる“陰謀”の可能性についても自分なりに考えてみることにする。私は国会議員票や地方議員票はともかく、我々一般サイドの感覚に近い党員・サポーター票は圧倒的に小沢一郎が勝つものと考えていた。党員であれば6千円、サポーターであれば2千円の年会費が納められている。まあ個人献金のようなものだが、金を出していることの意味はあまりにも大きい。新聞やTVは自社の世論調査に類似した結果が党員・サポーター票の集計でも出るであろうとして菅直人断然有利の予想を立てていたが、党員やサポーターは、無作為に抽出されて電話調査されるところの昼間在宅している専業主婦やお年寄りなどよりも、はるかに政治意識が高い人間の集団である。そのような人間が数千円とはいえ金を支払ってまで菅直人に投票するであろうか。ネット調査の結果同様に小沢有利になるのが当然ではなかったのか。私は未だに信じられない気持ちである。政治意識が高いからこそ菅になったのだと菅支持派は言うであろうが、私にはやはり釈然としない。これは真実に嘘偽りのない結果なのか。
党員・サポーター票の管理、集計で不正が為されたのではないかという疑いがある。その根拠に投票率の“低さ”が挙げられている。342,493人の有権者数に対して投票数が229,030だから66.8%の投票率である。これを低いと見るか、高いと見るかは微妙なところである。8年前の2002年に行われた、菅直人鳩山由紀夫野田佳彦横路孝弘4名による代表選挙では309,003人の有権者に対して投票数は158,598であるから、51.3%である。その時よりも15.5ポイント増えているのである。会費を納めているのだからと、こぞって皆が皆、選挙に参加するものでもないことは確かだ。そういう意味では66.8%の数字は妥当と見れなくもない。しかし8年前と今回の代表選では注目度や重みに雲泥の差がある。8年前は民主党代表戦になど誰も見向きもしなかった。云わばどうでもよい選挙だったのである。しかし今回は総理大臣を決する正に天下分け目の戦いであり、党員やサポーター以外の一般人でも固唾を呑むように注視している人が多かった。仕事中にTVやネットで生中継されていた菅直人小沢一郎の投票日の演説を見ている人も少なくなかったであろう。だとすれば66.8%の数字はやはり低過ぎるということになる。それでは一般の選挙と大して変わらない数値ではないか。実感的には85%ぐらいなければ、おかしいような気がしないでもない。そうだとすれば、その差の18%(約6万票)はどこに消えたのかということになる。得票数では小沢が90,194票で、菅が137,998票だったので、小沢の“消えた”6万を加算すると、小沢:菅=約15万:約14万で総数約29万の得票数になる。小沢は党員、サポーター票でポイント、総数ともに勝っていたことになる。
但し私はそのような不正が行われたかどうかという点については、半信半疑以上に懐疑的である。いくらなんでも、そこまではしないだろうというのが現時点での正直な感想である。34万人の有権者から民主党1年間に集める会費は、サポーターの2千円で計算しても68千万円である。党員とサポーターの割合がわからないので正確な数値は出せないが、仮に半々で計算しても(20006000/2×340,0001,360,000,000になる。代表選選挙で不正を為すことは34万人もの人間から結果的に14億近い金を騙し取ったことになる。8年ぶりの代表選挙であることを考慮すれば会費合計は優に100億円以上になる。これは小沢の政治資金収支報告書への不記載などとは比べることすら不可能な、戦後最大、最悪ともいうべき政治犯罪になってしまう。万が一でも発覚すれば民主党など一瞬にして吹き飛んでしまうであろう。リスクが大きすぎるのである。民主党の政治家にモラルが備わっているとは思っていないが、ここまで危険な行為をする度胸のある人物とは一体、誰であろうか。ましてや小沢を支持する国会議員が半数以上いることが予測される環境の中でである。常識的に考えれば有り得ないことである。
しかし“絶対に”100%ないと言い切れるかどうかとなると別である。民主党の選挙対応に疑われる余地が大きすぎるからである。まず投票用紙のはがきに候補者名を隠すプライバシー・シールが用意されていなかったという事実は致命的である。なぜ採用しなかったのか。私の仕事関係でも仕入先会社から何ヶ月かおきに買掛金残高照合の往復はがきが送られてくるが、金額が記載されている部分には当たり前のようにプライバシー・シールが貼られている。僅か1万円ほどの金額であってもである。郵便配達員に見られても特に何の問題もないのでなくても良さそうなものだが、今やプライバシー・シールはそれだけ一般的に普及しているのである。もちろん34万人に発送するとなるとシール付きのはがき代は高くつくであろうし、開票の際に手間と時間は掛かるであろうが、そういう問題ではないであろう。民主党は年間10億円以上もの会費を党員やサポーターから集めていながら、そういう肝心なところで僅かなコストと時間を節約したと考えるのは不自然である。もう一点は9月14日未明の開票前に、すでにどこかの保管場所で委託業者によって300小選挙区ごとの仕分け作業がなされている事実である。日程的には9月12~13日とされている。この点について民主党及び一般報道では、業者名や立会いに関する情報の一切(立会人の人数や身分、立会いの時間、監視の方法)を公表しておらず、非常に疑わしき工程部分と目されている。陰謀論的に穿った見方をすれば、その両日に小沢票が抜き取られて破棄されていてもおかしくないではないかということだ。プライバシー・シールがなかったという事実がこの疑惑をより一層深めている。確かに相当数の作業員で、単に仕分けだけが為されたと考えるよりは、300小選挙区ごとの菅と小沢の得票数が記載された一覧表がその時点において作成されたと考えるほうが自然ではないのか。1日あれば出来るであろう。そうであれば誰かにその一覧表が一旦手渡されて、各選挙区ごとの“抜き取り数”が謀られ、残りの1日(13日)に実際にその数が抜き取られたと考えられなくもない。あるいはその工作を2日ではなく、1日で終えることも充分に可能である。そういう風に陰謀の想像を逞しくしてゆくと確かに数字的にも合点がゆくように見えてくる部分がある。当初、小沢は国会議員票においてはかなり有利だと見られていた。50~60人分位、菅を上回るのではないかとの予想もあった。地方議員票は計100ポイントなので、菅直人を確実に勝たせるために党員・サポーター票をもし不正操作するとすれば党員・サポーター票で菅が200ポイントの差をつければ安心ラインということになる。実際には小沢51ポイントに対して菅が249ポイントであるが、これは50と250ではあまりに不正の意図が見え透いた数字なので小沢に1ポイント“プレゼント”されたものではないのか。小沢が当然勝つべき岩手県沖縄県などは手をつけずに、それら以外の地区で出来るだけ自然に見えるように票の抜き取りによる勝敗の操作がなされたと見ることは私にはそれほど違和感のある想像ではない。小沢の得票数の割りにポイントで5倍もの差が出た今回の結果は、ドント方式による開きというよりも不正操作の痕跡のように見えなくもない。もしそのような不正があったとしても民主党議員の一人も知らないところで、計画され履行されたという可能性もあるであろう。仮に議員が関与していても一人か二人程度ではなかろうか。
もちろんこれらは何ら直接的な根拠もない私の妄想的な想像に過ぎない。それに繰り返すが、私は“恐らく”そのような不正はなかったであろうと考えているのである。私の心中を数値化すれば9割は不正はなかった。しかしどうしても、1割の疑いは拭い切れない。これはとてつもなく重い1割である。私はこのたかだか1割の疑いのために、夜も眠れずというほどではないが熟睡できず、飯も喉を通らずということはないにせよ、読書をしていても集中できず、どこか落ち着かない気分である。今や日本は内乱が続く政情不安な国のようなものである。何もかもが信じられないのだ。
疑う私に問題があると言えるか。それなら私はこう言い返すことにする。疑う心は健全性の証である。あれを疑え、これは疑うなと暗黙に要求するかの世論圧力そのものが一番怪しいのである。1割の疑いが私という個人だけでなく、日本という国家そのものを支えてゆかなければならないのだ。
疑え。自らの疑う心そのものを疑いながら、より大きく疑い続けるのだ。