龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

馬鹿らしき疑惑の疑惑

・・・の無言以外に適切なコメントが見当たらない。大阪地検特捜部検事、前田恒彦容疑者が逮捕された。日本権力の深層部で何が起こっているのか知らないが、セリフを忘れた役者が慌てふためき動揺して、観客(国民)をごまかそうと即興で演じているドタバタ劇にしか私には見えない。
世論誘導の典型が今回の事件に示されている。何で私がこんなことを一々解説しなければならないかと馬鹿馬鹿しく思いながらも一応書いておくことにする。時系列に整理して冷静に考えれば、メディア情報に惑わされずに今回の事件のおかしさが見えてくるであろう。2009年5月に厚生労働省元局長の村木厚子氏の元部下、上村勉被告が逮捕され上村被告の自宅からFDが押収された。
2009年6月に村木厚子氏が逮捕される。その時の捜査報告書には、正しいFD最終更新日時である2004年6月1日が記載されていた。2009年7月4日に村木氏が起訴される。7月16日に上村被告にFDが返却される。返却されたFDの最終更新日時は2004年6月8日になっていた。そのFDを朝日新聞が解析したところ返却3日前の7月13日に専用ソフトで書き換えられたものであることが判明する。2010年の1月に村木氏の初公判が開かれる。その時に検察が主張する捜査報告書のFD最終更新日時と、返却されたFDの日付が違うことが、村木氏の弁護側から指摘される。2010年9月10日、大阪地裁は村木氏に無罪判決を出す。9月21日、FDの改ざん疑惑が朝日新聞によって全国報道される。
2010年1月の村木氏の初公判以降、FD改ざんの疑いが検察内部でも噂になり、1月下旬ごろ前田検事は特捜部幹部に対して、“データを変えてしまった可能性がある”ことの報告をしていたようである。ところが公判には正しい更新日時の捜査報告書が提出されていることもあって、その時点ではほとんど問題になっていなかった。
私は今回のメディアと検察の動きには何かしら阿吽の呼吸で連動している怪しさを感じるものである。報道が出た“当日(21日)朝”に、異様にも最高検次長が会見を開き徹底的に“捜査”すると発表した。捜査するという言葉はその時点で、最高検次長が犯罪行為があったと決め付けているのである。前日(20日)に大阪高検から連絡を受けて、21日に朝日新聞が疑惑を報道すると知ったばかりの状態でなぜこのような突飛な発言と動きになるのか。検察の組織的関与を隠蔽するためではないかと、まことしやかに解説されているがその見方も早急すぎる。なぜなら前田検事の証拠隠滅罪が成立するためには、前田検事の明確な悪意の意図と目的が立証されなければならない。ところが前田検事はFDデータが書き換わった3日後の7月16日にFDを返却している。通常、検察が一旦押収した証拠品を裁判中に被告の元へ返すことなどあり得ないことである。なぜ、前田検事がFDを返したのか不明であるが、少なくともデータを改ざんして裁判で悪用しようという意図があれば絶対に返却などしないことは誰が考えても明らかである。この点について各新聞社は前田検事の犯罪性を損なわない様な説明を懸命に試みているがこじつけの観が強い。むしろ前田検事が主張する通り、何らかの過失で更新日時が変わってしまったと見るほうが全体の流れから考えると自然である。あるいは、もとから証拠採用するつもりがないから悪ふざけをして検察の見立てに合うように専用ソフトで遊んでいただけかも知れない。過失であれ悪ふざけであれ、検察官の行為とすれば許されるものではないという見解は妥当であろうが、報道が出た当日に(現実には前日からストーリーは動いていた)最高検が犯罪だと断定し、その日の夜に逮捕などという事態はどう考えても不自然である。これは、さらなる重大でまったく別の疑惑を追及させないために、国民の目を逸らせ欺くために、検察、メディア、政治が一体となって作り上げた“見世物事件”が繰り広げられているのではないのか。検察組織にも、肉を切らせて骨を断つ必要性があるということだ。何を隠そうとしているか凡その見当はつくような気もするが、日本は本当に子供だましのような国になってしまったものだ。