龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

世界と日本の大局観

獄中の人権活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を授賞した。中国側は劉暁波氏が授賞しないように事前にノルウェーノーベル賞委員会に圧力をかけていたようだ。中国はノルウェー政府に対して経済取引における対抗的制裁を取る可能性を示唆しているようであるが、ノルウェーのストルテンベルグ首相は劉氏に対する人権弾圧の問題を提起し続ける姿勢を示している。
ノルウェーは経済的にも軍事的にも小国である。人口など500万人にも満たない。ノーベル平和賞が世界的に広範な影響力を及ぼす威光があるとはいえ、またノーベル賞委員会がノルウェー政府から独立した機関であるとはいえ、GDP世界第2位で、13億人の人口を要する大国中国に脅されながら劉氏への授与を決定したことには、“それなりの”勇気と信念が要求されたことであろう。さて日本の外交は、“それなりの”気概も持てないのか。未だに尖閣諸島沖における中国漁船の衝突ビデオ公開にすら踏み切れない日本政府の対応とはえらい違いである。世界は、中国の独裁政治を否定し、人道的な民主化路線への転換を促している。日中間の尖閣諸島沖漁船拿捕とフジタ社員拘束は、このような世界情勢の趨勢下にあって勃発した事件であるにも関わらず、世界第三位の経済規模とアメリカの軍事的な庇護下にあるはずの日本の総理大臣が、事なかれ的に中国共産党指導部のご機嫌伺いばかりしている。これでは先進国の恥さらしである。ノルウェーのような小国ですら、経済的な互恵関係に絡めとられることなく“歴史的な大局”の観点から今、中国の暴政が改善されるべきであるとのメッセージをノーベル賞委員会が発することに、政治的な介入をなさなかった。それが世界の常識である。そういう意味では日本は非常識国家だ。非常識国家の無能総理大臣は、大局に逃げ、大局を語る、大局知らずである。