龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

民主党を分けろ

退陣3条件の法案成立に、野党が慎重になるのは心情とすれば理解できないこともない。菅首相が本当に辞任するかどうかわからないのに、手持ちのカードを切ってしまいたくはない。手持ちのカードがなくなって、菅首相に居直られてしまえば馬鹿を見るとの不安がブレーキになっていることであろう。
しかしその考え方は根本的に間違っている。残る2法案の再生可能エネルギー特別措置法案と特例公債法案が成立しても、菅氏は恐らく辞める気などさらさらない。だから、そのような空手形のごときカードを後生大事に抱えていても、結局は菅氏の延命に手を貸しているだけに過ぎない。菅氏の延命にとって、今、何よりも大切な戦略要素は“時間”そのものである。時間があれば、延命のための新たな手立てを考えることが出来るし、政治状況の風向きが変わっていくかも知れない。だから、野党が菅首相を本気で追い詰める気があるのなら、つまらない駆け引きで時間を浪費している内に野党の立場そのものが悪くなっていくことに気づくべきである。また赤字国債発行のために必要な特例公債法案の成立が遅れることの混迷から、衆院の解散・総選挙につながることを期待するのは、ちょっと考えが甘すぎるのではないのか。そもそも国民生活に必要な法案成立と首相の辞任を取引するようなことをしてはならない。それは筋違いというものである。法案の是々非々は法案の内容そのものによって判断されるべきであり、首相が辞めるなら認めるというのでは政治の邪道である。ならばどうやって菅首相を辞めさせるかと言うと、一番有効で正統的な方法は、やはり2度目の内閣不信任案提出ではなかろうか。国民の支持率も歴然と低いのだから何度でも出せばよいのである。但し、2度目は前回の轍を踏まないようにしなければならない。民主党内でもきちんと署名をするなり可決のための根回しをしておくべきだ。また鳩山由紀夫氏が、ちゃらちゃらと党内調整にしゃしゃり出て来ないように、よくよく言って聞かせるなり、どこかの柱に括り付けておくなりしなければならない。普通に考えれば前のことがあるので懲りているはずだが、鳩山元首相にはどこかそういう、ちゃらっとした“ぜんまい”の如き軽さが備わってるように見受けられる。だから決して油断してはならない。人間は何度でも同じ過ちを繰り返す動物なのだから。
またこの時期に、拉致被害者解決に向けての日朝首脳会談の動きが出てきていることについてであるが、私はこれは菅首相が企図した延命の策略ではないように思う。菅首相は元々、国内の政局を利用することしか頭にない典型的な内弁慶タイプで、小泉元首相のように外交で突破しようという発想そのものを持っていないと思われる。恐らくは民主党の執行部が菅首相に対して、解散・総選挙をさせないために仕掛けた政治工作ではないかと私は想像する。民主党の執行部は菅首相には辞めてもらいたいが、選挙は何よりも恐れている。今この時期に衆議院の総選挙が行なわれば、民主党は壊滅状態になるであろうことは目に見えている。拉致被害者を取り戻せる可能性が僅かでも出てくれば、さすがに菅首相も解散してその流れを断ち切ることは出来ないであろう。これはなかなか良いアイデアであったのかも知れないが、菅首相は当然のように自らの手柄として国民に向けてアピールするであろうし、そもそもそのような唐突な思いつきで北朝鮮相手に交渉しても上手く行く訳がない。北朝鮮に足下を見られて、“調査する”などの空約束を条件に巨額の見返りを要求されることが関の山だ。
はっきり言うが、民主党はどうあがいても沈みゆく泥舟であることに変わりない。首相が変われば一時的に支持率は回復するであろうが残り2年間の任期を満了できるとは到底、思えない。ごまかしは効かないのである。なぜなら民主党は、2009年に政権を獲得した当時とは完全に目指すべき政治の方向性を変節させてしまっているからだ。党の存在意義そのものが希薄になっているし、多くの国民感情としても民主党は憎悪の対象でしかない。そんな党の中で露命をつなぐように国会議員のバッジを付け続けることに一体、何の意味があるのか、特に新人議員にはよく考えていただきたい。日本政治に定着させなければならない2大政党制の出発点に立ち返るべきではないのか。民主党の原点とは脱官僚地方分権、国民生活の向上であるべきだ。菅の政治は自民党政権時代の手法に回帰してしまっている。党首を変えてイメージチェンジだけで政権を維持できると思うのなら大間違いだ。誰が主宰者でもよいから民主党は、菅の政治と対立する集団によって分党されるべきだ。今の民主党は、考えや方向性の異なる多くの人間が権力に汲々として執着しているだけで、我々国民から見れば2大政党の一翼であるどころか日本の民主主義を破壊してしまっている元凶だ。菅氏のような人間には何を言っても無駄である。
是非、民主党内で100人ぐらいの同志を集めて新党を立ち上げていただきたい。仮に選挙になれば民主党には皆目、票は集まらないであろうが、民主党内から独立結成された新党は恐らく候補者全員が当選する勢いを持つであろう。世の中、そういうものである。泥舟には我々国民も乗せられていることを忘れないでいただきたい。