龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

3月の憂鬱

3月は、嫌な季節である。花粉症だからという訳ではない。花粉症については私は重症なので毎年2月の中旬ごろ症状が出始めた時期に、ステロイドの注射を打ちに京都の病院まで行っている。去年は何とか注射なしで我慢したが今年は、もう降参とばかりに早速、白旗を上げて打ってきた。年と共に堪え性が無くなってきているようだ。しかし日常生活に支障を来すのだから、こればかりは仕方ない。今のこの時期に注射も打たず、マスクもせずに平気で街を闊歩している人は、生物学的に自分と同じ人間とは思えない。よほど私の肉体は脆弱なのか、繊細に出来ているのか知らないが、とにかく花粉にだけは敵わない。死にそうになる。ところがお尻にステロイドの注射を一本、打ってもらえば、もうへっちゃらである。それで一年間何ともなくなるのだから、ステロイドとは本当に偉大である。我慢して、辛い思いをすることには何の価値もないことを思い知らせてくれる化合物がステロイドだ。花粉症の話しはともかく、それでは何で3月が嫌な季節なのかと言うと、もうすぐ4月の頭に、恐怖新聞の如き悪霊の知らせが私の元に舞い込むことがわかっていて、その悪霊に対する心構えというか準備をしなければならないからだ。4月頭の悪霊だけは、毎年のことながら本当に憂鬱だ。その悪霊の正体が何かと言えば、固定資産税の請求書である。元妻と息子が住んでいるマンションの固定資産税を支払わなければならない。私はマンションに住んでいないが(その上家賃も貰っていないが)、私の所有不動産だから当然のように私に請求がくる。17万円ちょっとである。特に今年は、息子が3月から新しい学習塾に変わったので、1年間分の教材費やら公開テスト代で7万円余りの臨時出費があった。その上に17万円の固定資産税を納付しなければならないのだ。もちろん月々の養育費も元妻に振り込まなければならないし、マンションのローン代もあるから大変である。こればかりはステロイドのような特効薬はない。固定資産税については4回に分けて分納できるので、一括して支払わなければならないということはないのだが、私には性格的に無理である。気分的に鬱陶しくて耐えられない。年に1回でも大概なのに、4回も悪霊に付き合ってられるか。
それで私は毎年、催促するように市税事務所に請求書の発送時期を問い合わせて(そんな人間は恐らく私だけであろうが)、手元に届くや否や悪魔払いするがごとく、その日の内に銀行から現金を引き出して納付している。それでやっと呪いが解けたように気分がすっきりするという訳だ。ところで3~4年前までは一括納付すれば、分納よりも若干ではあったが割引があったのである。それがいつの間にかどういう訳か、一括納付の割引がなくなってしまった。これもちょっとした、プチ増税のようなものである。本当に役人が考えることはせこいと言うか、目立たない所で小狡賢こさを遺憾なく発揮しているようである。腹立たしい限りだ。そういう訳で、固定資産税の請求書が来るまではその直近1カ月ほどは金の算段をしなければならないので気分が晴れないというわけだ。算段と言っても、どこかから金を引っ張ってくるというような甲斐性のあるものではなくて、要するに出来るだけ金を使わないでじっと持ち堪えるということである。だから、おちおち飲みにも行けない。というのは嘘で、たまには飲みに行くが、固定資産税という悪霊のことを考えると気分良く酔えない。飲み過ぎて手持ちの金が減ることが心配である。ああ早く、金が無くならない内に請求書を送ってもらえないものか。3月は本当に鬱陶しい季節だ。外出しているとどうしても金を使ってしまうので最近は、休みの日には家にこもっていることが多い。何をしているかと言えば、“おたく”のように映画のDVDばかり鑑賞している。まあ、元々おたくの素質はなくはないのでそれほど苦痛ではないのだが。
ということで、どうでもいいことだが最近見た、DVDの感想を述べることにしよう。先ず、デイヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』だ。予想した通り、まったく訳がわからない映画だ。その上3時間と長い。しかし退屈でもない。デイヴィッド・リンチの映像には不安と癒しが同居している。理解するよりも身を任せるような映像体験であった。次にコンビニで買った、ジェームズ・キャメロンの『アビス』。行方不明になった米、原子力潜水艦の救出指令を受けた民間の海底油田発掘のクルーが深海で未知の知的生命体と遭遇するというSF大作である。深海のSFという内容は悪くはないのだが、深海に生息する生命体がしょぼ過ぎるというか、子供だましのファンタジーのようで何となく白けてしまった。同じくコンビニで買った『フロム・ダスク・テイル・ドーン』。クエンティン・タランティーノジョージ・クルーニーと兄弟の囚人役で出演している。タランティーノのおたくっぽさがよく出ていて、それなりに楽しめた。メキシコのナイトクラブで凶暴な囚人がバンパイアに遭遇して戦うと言うシナリオも面白かった。鑑賞に堪えるB級映画と言うべきか。次にデビッド・クローネンバーグ監督の『クラッシュ』。J.G.バラード小説の映画化である。たまたま交通事故により性的興奮を得たカップルが、さらに交通事故を自ら引き起こして快感を開拓してゆくという、いわば変態映画である。1996年のカナダ映画だが、見ていて重苦しさしか感じなかった。しかしこれも一つの映画ではある。最後にブルース・ブラザースのミュージックDVDである『ザ・ベスト・オブ・ブルースブラザース』だ。ブルースブラザースはいつ見ても最高である。単なるコミックバンドというよりも詩的であり、曲名のタイトルにもある通り魂がある。往年のジョン・ベルーシダン・エイクロイドの動きを見ていると1970年代後半当時、このバンドが爆発的な人気を博した理由がよくわかるような気がする。監獄ロック、やソウル・マンを聞いていると無性にうれしくなった。まあ、そんなところだ。