龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

現実を見よ

民主党政権になって何か一つでも日本はよくなったことがあるであろうか。経済の停滞、政局の混乱などの国内問題だけではない。菅首相の時には中国漁船による尖閣諸島沖への領海侵犯、拿捕の事件があったが日本政府が中国人船長起訴への動きを見せると、中国は日本への報復として、旧日本軍による化学兵器処理のために調査に来ていたフジタの社員3人を拘束した。またレアアースの禁輸措置で対抗した。その結果、直後に横浜で開催予定であったAPECへの悪影響も考慮したと思われるのだが、政府は那覇地検に圧力をかけ中国人船長は不起訴処分になり簡単に釈放された。その後、中国漁船が日本の巡視船に衝突させた映像を一般公開した海上保安庁の職員が事なかれ的に処分されることとなった。北方領土問題に関しては、ロシアのメドベージェフ首相が国後島を訪問して、強硬路線に対応を転換させた。そして今回の韓国大統領による竹島上陸である。これらのことが民主党政権になってから僅か3年ほどの間で引き続き発生しているのである。日本のマスコミはこのような問題に対し、好ましからざるナショナリズムが増進されることになるなどと訳のわからないことを言って、決して核心部分を国民に伝えようとしないが、明らかに日本の権力が弱体化していることによって足下を見られているのである。大衆の不安感を煽るつもりはないが、この3年ほどで確実に日本は周辺国の脅威が増しているという事実がある。ところが前回も述べたように、日本という国は諸外国との調和という視点でしか現実を見ようとしないから、悲しいことにありのままの現実が見えていないのだ。何年か前に読んだ村上龍氏の小説『半島を出よ』は、政治家や官僚などの支配者がありのままの現実を見れないということが、日本存亡の危機を招いているという内容であったが、まさにその通りに近づいてきているのである。しかし、だからと言って民主党政権自民党政権に戻れば、国家の危機が小さくなるかと言えば、そういうことでもないであろう。我が国に今、求められている当たり前の政治能力とは危機を危機として、常に最悪の事態を想定した清らかで透明感のある現実感覚である。日本政治の現実感覚が濁っている原因は、取り敢えず国内秩序が一元的に統制されていさえすれば、そしてその統制の枠内から政治がはみ出さないように民主主義の対立軸が管理されていれば、永遠に平和が保障されているかのような官僚主義の幻想にあるのだと考えられる。よって自然に、現実が無視された茶番政治に収束してゆくこととなる。もちろん全ての現実が無視されているとまでは言わない(そうであればどのような茶番政治も成り立たない全体主義社会である)が、一面的な現実しか考慮されていないということだ。これは消費税増税も、TPPも全て同じである。そもそも官僚という人種は、小さな頃から教育ママの影響下で言われた通りに勉強ばかりに励んできているので頭脳は優秀なのかも知れないが、またそれゆえにエスタブリッシュメントとしてのエリート意識も強いのであろうが、日本の教育システムとは所詮は求められている解を、疑問を持たずに素早く、従順に導き出す人間を作り出しているだけであって、その時代の状況に合わせて旧来の体制を破壊して新しい何かを生み出すという発想は絶対に出てこない。そういう発想を封じるような教育というか洗脳がされているのであろう。よってそのような人間は、自らの力が及ぶ所管の事柄においては、顕微鏡をのぞき見るように仔細に現実を分析するであろうが、自分の管轄から外れたことやコントロールの効かない領域には端から現実に対して目を背けてしまったり、また諸外国の圧力などは無条件に受け入れたり、あるいは相手国の意向を政治的に忖度して自己保身を計るという傾向が非常に高いように考えられる。役人気質とはそういうものだから当然だと言われればそれまでだが、日本の問題は政治がそのような役人気質に完全に従属してしまっているところにある。言葉の上では誰もが一応は政治家らしいことを言うけれども、その原稿も役人が作っているだけのことである。高級官僚になっている人は小さな頃から背後から日本の政治家を実質的に操るような偉い人間になることを夢見て、そして大企業から在職中は接待され、退職後は天下りで死ぬまで安泰という生涯設計のもとで猛勉強してきたのであろう。しかし日本の現状の権力構造を否定し得ない立場の人間は、大正時代や昭和の世であればともかく、今の時代には総合的な国益を考えれば明らかに有害な存在に成り下がっているように思われる。政治家は政治家で、国民の目をごまかすこと、そして現状の統治システムの中で利権を追及することしか考えられないでいる。これでは日本は地盤沈下の道をたどって当然である。日本の大衆意識はいまだに自民党の方が、まだましだとか、自民党民主党が連立して不要な政党間の権力闘争がなくなれば国民のための政治が行われる余地が大きくなるかの漠然とした期待から決別できないでいる。こういう意識の状態も全ては洗脳の結果であると言えるであろう。既存の既得権益勢力から見れば、多くの国民がそのような幻影に囚われている方がこれまでの統治システムを維持する上で明らかに都合がよいからだ。だまされてはいけない。断言するが、民主党自民党に変わろうとも、民主党自民党が名実共に一体化しようとも何も変わらない。日本の衰亡が加速化されるだけのことである。だから私は民主党自民党を選挙で壊滅させるべき国民意識が醸成されるべきだと主張するのである。何の遠慮がいるであろうか。政治には莫大な税金がつぎ込まれているのである。