龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ヘイトスピーチの発端

馬鹿のことはどうでもよいが、微罪の取り締まり、検挙の有り方については、どうでもよくはない。再度、言及するが、2012年に元在特会の幹部ら4人が、ロート製薬の本社に、韓国の女優、キム・テヒがCMに起用されたことに抗議に行って、そこで担当者とトラブルとなり警察に通報され、強要罪で逮捕,起訴され、その内の二人は一年と一年半の実刑判決となっている。
動画を見れば分かるが、4人は無理やり敷地内に侵入して面談を強要した訳ではない。ロート製薬に許可されて面談しているものである。どこで何がトラブルになったかと言えば、面談開始時にビデオ撮影されていることをロート製薬の担当者が見咎めて、拒否したことである。敷地内で許可もなく勝手に撮影されては困ると担当者は言っている。それに対して、元在特会の幹部は、これは公益性のあることで自分たちは国民の代表で来ているだけだからビデオで撮影することは当然であるという言い分である。またロート製薬の担当者が強固に撮影を拒否することに対して、元在特会のメンバーは、映っているのはほとんど我々の側であるから問題はないはずだと言い、動画を見れば実際にその通りであるが、要するにロート製薬の担当者にしてみれば撮影だけでなく、むしろ面談の会話内容を音声で記録されて一般に公開されることを拒否していた訳である。そしてそれが原因で初っ端から紛糾し、激昂したメンバーが、「竹島はどこの領土か答えてみろ。」などと問い詰めたり「右翼のきついとこ紹介したろか。」などと発言したことから、担当者がその場を退席して警察に通報する光景が動画には映し出されている。
さてこの事件をどのように解するべきであろうか。先ずロート製薬の応対者は代表者でも役員でもなく、また広報の担当者ですらない。想像されるところでは恐らくは、会社の上層部から今日、ややこしい連中が抗議に来るからお前が相手してこい、などと命じられて出てきた何の権限もないような一介の社員である。ロート製薬の理念や経営方針を説明するような気配はまったく伺われないものである。つまり最初からロート製薬は、抗議者のことをまともに相手にしていなかったと見れる。そして社員はビデオ撮影のことを聞いていなかったし、知らなかったので驚いて、激しく拒否した。それもまあ当然の事ではある。インターネットで流されて保守的な大衆の不満の捌け口にされたり、政治問題になってしまえば大変なことである。一介の社員にとって見れば、会社の企業方針などどうでもよくて、要は自分が首になるかどうかの大問題である。しかし元在特会のメンバーら4人はそんなことはお構いなしである。そういう構図の事件であったのだ。私が思うに、どのような大義があろうと会社の担当者が嫌がっているのに無理やり撮影することには問題はある。問題の有無以前に、たとえ抗議ではあっても最低限の信頼関係が構築されなければ、そもそも面談は成り立たない。しかし無断の撮影ということであればマスコミなどは取材などで日常的に行っていることである。それが原因でトラブルとなってマスコミの記者が逮捕されたなどとは聞いたことはない。そうであればそのメンバーはマスコミでもないのにマスコミのような行為をしたことが犯罪であると看做されたのか。その法律解釈はいかにも苦しいものであろう。言論の自由はマスコミだけに認められている権利ではないのである。暴言も確かに道義的には問題であるが、抗議活動の中で暴言が発せられることは一般的にもよく見られることであり、それが犯罪要件を満たすとは到底、考えられないことだ。それでは何で彼らは逮捕されなければならなかったのか。強要罪ということであるが、何を強要したというのか。これはどう考えても不当逮捕であり、また不当判決であるとしか言えないものだ。右翼も左翼も関係ない。全ての人間が法の下に同じように取り扱われることが法治国家の根幹である。この事件は違法性の在り処に関わる問題であるというよりは、微罪を通じて政治が統治の邪魔者を排除しようとしたことが真相であると考えられる。結果的に元在特会の幹部が刑務所に1年間入れられたことで、政治にとっては都合のよい口封じというか、言論弾圧になっていたものである。何度も繰り返すが、私は彼らを擁護、弁護するつもりはない。彼らのやり方は支持できない。しかしそれでも冷静に客観的に権力行使を判断して、間違っていることは間違っているとしか言えないものである。いかに当時の民主党政権の政治が易きに流れる堕落したものであったか、この一事件からだけでもよくわかることであろう。そしてそういうことを発端として(もちろんそれだけが原因ではないが)ヘイトスピーチが発生してゆくこととなったものである。この世の事象には全て政治的な原因があるということだ。