龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

結婚・育児の贈与非課税について

陰謀論については取り敢えず脇に置いておいて、別の流れでまた続きを述べるが、今朝の朝日新聞、朝刊一面に掲載されていた「結婚・育児も贈与非課税」の記事について意見したい。現在においても授業料や塾の月謝代などの教育資金や住宅購入資金などが親から子に贈与される場合、教育資金は最大1500万円まで、住宅購入は最大1000万円まで非課税扱いであったが、それらに加えて結婚、出産、育児資金まで親から子と孫に一人当たり1000万円まで非課税にする方針を自民党税制調査会が決めたという。
言うまでもなく政府の狙いは少子化対策である。今の若者世代が金がないために結婚や出産を思い止まることを防ぐために、政治が高齢者世代の貯蓄を当てにしているということである。現実問題として見れば、このような不景気な時代に大学を卒業した若者が10年程度働いて貯めた資金で結婚し、住宅ローンを組んだり、生まれてきた子供の育児や教育資金を賄うことは到底、不可能である。私も中学生の子供がいるのでわかるが、全般的に所得水準は低くなっているにも関わらず、塾代や私立高校(大阪府は現在、授業料は無償化であるが)、私立大学の教育資金は決して安くはなっていない。むしろ私が大学生であった1980年代に比べて見ても高くなっているようである。これでは今の時代の若者たちが生活不安から結婚や出産に躊躇するのも当然である。そして若者が結婚、出産しなければ国が大いに困ると言う事情もわからないではない。しかし政治が、露骨に高齢者世代の金を頼りにしてどうするのか。裕福な家庭はそれでよいかも知れないが、親が貧乏な人間は一体、どうすればよいのだ。貧乏人は結婚するなということなのか。これが正に自民党政治の本質なのである。資金に余裕のある層にばかり目を向けていて、貧困層のことはほとんど無視しているに等しいものである。これは私の親としての実感であるが、確かに今の時代は親の経済力によって子供の学力や教育環境に大きな格差がつき、二極化が進んでいるものである。親(祖父母)からの援助も含めて資金に余裕のある層は、我が子に惜しみなく教育資金を費やすが、母子家庭や離婚していなくても実家が裕福ではなく当人たちの所得も少ない家庭では端から子供の教育を放置と言うか放棄されているような感がある。これは住んでいる地域や学校などによっても格差が拡がっているようでもある。教育の問題だけではなく酷い場合には、無力感から虐待やネグレクトを生み出す原因となるものである。政治の役割とは本来は、このような不公平感や不平等をなくしてゆくことではないのか。贈与を非課税にするのであれば、その政策とのバランスにおいて親(祖父母)の資産が乏しい世帯に対しては、その非課税の贈与相当額を国から無利息、無担保で貸し付ける制度を作るべきではないのか。それぐらいのことをしなければ日本の少子化は解消されないであろうし、貧困世帯をまるでホームレスのように政治の対象から排除しているのと同じである。フランスなどもかつては少子化で困っていた時期があったが、実家の財産状況によって差別することなく、公平に独立した育児世帯に対して手厚い保護政策を始めたことによって少子化の改善がなされたものである。そうは言っても日本の特殊事情と言うものもあるであろうし、高齢者世代の豊富な金が預貯金に眠ったままであるよりは、新しく生まれて来る子供たちに有効に使われることは間違ったことではないであろうが、貧困世帯の底上げというか教育、生育環境を改善することにもっと目を向けなければ、ひいてはこの先の日本全体の治安が悪くなり、希望の灯が消えてしまうということである。