龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

大人になれないお膳立て症候群

日々、忙しくバタバタとしていると世の中の動きについていくことが難しくて、私の知らない間に、SMAPは解散せずに、独立を計画していた4人は元の事務所に無事に復帰することができたということだ。ジャニーズ事務所というのか、まあ、芸能事務所も夢や希望がどうのと言っても、所詮はビジネスでやっていることだから、世間の反応を鑑みながら、打算や計略があって当然のことである。しかしこれだけは言えると思う。独立を志すということは、どんな世界でもあることだが、会社などの雇用側にとってみれば、業界内における明白な敵対行為であるのだから、その独立計画が頓挫したからと言って元の古巣に戻して再雇用したり、首にしないで雇用し続けてくれるような心の広い会社など日本全国どこを探してもないであろう。昨年は、山口組の分裂騒動などもあったがヤクザの世界で組を割って、新組織を立ち上げるとなれば生きるか死ぬかの決断だから、やっぱりやめた、これからもこの組でやっていくというような翻意は許されないであろうし、そんなことを口にした途端に周りから馬鹿にされて組員は誰もついてこないということとなる。極道社会だけでなく、政治でも同じである。離党して新党を結成しようとしていた人間が、何らかの事情で見通しが悪くなったからと言って、やはり元の政党でこれからもお世話になりますから、仲良くやっていきましょうという変節が通用するであろうか。
そういう風に考えるとSMAPのメンバーは、国民的な人気があって多くの人から愛されているということは大きいであろうが、単にアイドルとしてではなく、真に一人前の人間として見做されていたのかと考えると疑問である。
彼ら4人のどこに問題があったのかと考えるに、独立を試みたこと自体はどこにでもある話であるし、実力から見ても成功の可能性は大きかったであろうが、最終的に何が原因で頓挫したかと言えば、キムタクがどうのこうのではなくて結局は他人(マネージャー)のお膳立てで動いていたに過ぎなかったということに尽きるのだと思われる。中居君たち4人は恐らくは、信頼している女性マネージャーに任せきりで、独立の計画についての詳細を自分たちで煮詰めて考えていたのではないと想像される。これは特に若者たちにとっての教訓、教材となる格好の題材だと思われるが、独立に類するような人生の一大事は、絶対に、それがどれほど深く信用している人物であっても、人のお膳立てで動いてはいけないということなのである。なぜならそのようなことは、必ずといってよいほど想定外のことが起こるものだが、誰かが絵を描いたお膳立てで動いていると、不測の事態に対処する方法であるとか、リスク管理がなされていないので、今回のように当事者が宙に浮いたように投げ出された状態になってしまって、どうしてよいかもわからずに、周りの人間に迷惑をかけたり、尻拭いしてもらわなければならなくなる。それで結果的に信用や評価を落としてしまうこととなる。本来は一旦、独立を決めたのであれば、人的、物的な障害が発生するのは当然であり、それらの困難を乗り越えてその意志を貫徹すべきだと思うが、誰かのお膳立てに乗っているだけだとそうすることもままならない。
SMAPの元女性マネージャーは育ての親と言われていたようだが、育ての親であろうが、実の親であろうがそんなことは関係ない。自分の人生に関わる重大事は、最初から最後まで徹頭徹尾、そのプロセスの進行状況と起こり得るリスクを正確に把握することが出来て、自分の意思が反映されるような態勢にしておかなければならない。私がこういうことを強調するのは、世の中にはそれに似たような事例があまりにも多いからだ。会社の上司などで日頃から尊敬、敬愛しているような人が、独立して新会社を作るからと誘われ、その人についていく決断をする。だが独立や事業内容の成功の見込みなどについての詳細な目論見は知らされずに、ただその人から「俺に任せろ。絶対に成功する。安心して付いてきてくれ。」といった類の言葉を信用して、言われるがままにポンポンと書類に判子を押していると、ある日、突然、その上司が夜逃げしてしまって行方をくらまし、連帯保証人になった莫大な債務だけが残るという悲惨な話しである。最悪の場合は、自殺にまで追いやられることにもなる。こういうケースが世の中には本当に多いのである。今回のSMAP騒動も、国民的アイドルの独立問題で世間の注目度、反響が大きいゆえに特別視されているが、本質的にはそのような事例と共通する要素があると考えられる。ただ自分のことは自分自身で責任を持って決めなければならないというそれだけのことである。大切なことの真理は、至ってシンプルなのだ。私は何もキムタクを贔屓にしている訳でもなければ、ファンでもないが、今回の独立騒動を逆のパターンで考えれば見えてくるものがあるはずだ。逆のパターンとは、キムタクだけが独立を計ろうと企てていて、他の4人が事務所への残留を決めていたという場合である。それで今回と同様にその独立計画が何らかの理由で頓挫した時に、キムタクは、中居君たちがキムタクを通じてやっていたように、中居君に仲介してもらって事務所に復帰し、SMAPのメンバーに戻してもらうようなお願いをしているような光景はちょっとイメージし難い。まあ実際のところはわからないが、恐らくキムタクであれば、当初の独立の意志を困難があっても、初志貫徹するのではないかと私は想像する。手厳しい言い方だが、それが自分の意志、判断を貫ける人間と、誰かのお膳立てでしか動けない人間の根本的な差であると思われる。それをキムタク一人だけがカッコをつけやがって、そのせいでせっかくの独立話しが立ち消えになり、他のメンバー4人が多大な迷惑を蒙ったというような見方があるのであれば、それは筋違いで間違った考えだと私は思う。話しは変わるが、キムタクの筋の通し方は、どこか武士道的な雰囲気が感じられる。彼が映画で、武士の役柄を演じていることは偶然ではないのかも知れない。よくはわからないが、何となくそういう匂いがする。まあいずれにしても、せっかく元の鞘に収まることができたのだから、互いに心のわだかまりを持つことなく、ファンのためにもより一層、人間的に大きく成長してもらいたいものだ。それが何よりの日本全国のファンへの恩返しとなるのであろう。
しかし自戒も込めて言えば、日本と言う国は、国そのものが国際社会の中の、特に米国のお膳立てでしか動けないような精神性なので、国民が大人になることが非常に困難な風土と言うか、土壌になっているような気がしてならない。誰もが日常生活の中で、何かに乗っかって、その乗り物の土台の組成を見ようともせずに、ただ流されるようにして生きているのである。こういうことは国の有り様と国民の基本的な性質が似てくるようで恐ろしい。