龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

教育の所産と日本の民主主義

朝日新聞が、女性にとって大切なことは子供を二人以上産むことだ、との大阪市内の中学校校長の発言を問題視し、追及する姿勢で得意の展開に持っていこうとしているが、政治家の発言ではなく、校長とは言え一教員の信条の問題でもあるゆえにさほどの拡散にも世論の喚起ともならず、決まり手となるには至っていない。朝日新聞がやっていることは相撲と同じなのである。がっぷり四つに組んで上手投げとか寄り切りとかの勝ちパターの技であり、それが朝日新聞の場合は、人権侵害とか差別に結び付けられるような公人の発言を攻撃し、辞任や辞職に追い込んで、自らの存在感なり社会的意義を高めていくということとなる。朝日新聞だけのことではないが、これが日本の民主主義の実態なのである。一口に公人といっても、それぞれの思い、考え方は様々であり、それが社会的な問題として見做されるべきかどうかは、新聞社が決めることではない。相撲がやりたいのであれば、朝日新聞社内の自分たちの土俵内だけでやっていただきたいものだ。訳のわからない組手にいたいけな国民精神を巻き込まないでいただきたい。
さてそれで、発言内容についてであるが、そもそもこういう内容のことを中学校の校長が、生徒に対して言わざるを得ない心境にまでさせる日本の政治に問題があるとしか言えないものである。今の状態で子供の数が減少していけば、企業のように簡単にリストラや廃部などのダウンサイジングが出来ない国家の維持、運営は、いずれは破綻するであろうことは誰の目にも明らかなことであり、女性差別とか男女共同参画の問題ではあり得ない。子供を産まない女性は寄付をすべきだという発言はちょっとピントが外れているような気もするが、今の時代にこういうことを、世間の批判や反応を恐れずにきちんと生徒に伝えられる校長は勇気があって立派であるし、貴重な存在であると私には思える。本当に日本の将来を危惧していないと言えない言葉であるからだ。政治やマスコミよりも明らかにレベルが上である。但し、ちょっと理解不足の面もあるような気がするのであるが、或いはわかっていて敢えて言及していない可能性もあるが、女性が子供を産まなくなってきているのは、女性の社会進出とかキャリアの問題ではない。医者や弁護士などの或いは教師などの公務員もそうであるが、生活が安定していて経済的に余裕がある層でなければ、今の時代に子供を二人以上育てることは現実的に困難になってきている。一般的なサラリーマン世帯では子供を一人育てるにも教育費や家のローンなどの住居費で、ほとんど貯蓄に回せないということが大方の現状ではなかろうか。貯蓄がなければいざという時に困るので、二人以上産もうという気にならないことは当然である。高収入を得られる才能、能力のある女性が子供を産みたがらない傾向もあるであろうが、それは全体から見ればごく一部でしかない。キャリアの問題ではないのだ。多くの女性は本音では、時給900円ぐらいでこき使われるのであれば、子供を二人か三人でも産んで子育てや家事に専念したり、ママ友とおしゃべりしながら日々を安穏と過ごしたいと願っているのだ。しかしそれが経済的に許されないから、止むを得ず、多くの女性はやりたくもないパートの仕事で家計の手助けをしているのである。政治はそういう現状をごまかすために、女性のキャリアであるとか社会進出の意義や概念を利用しているに過ぎないのであって、その二つをきちんと分離して思考しなければ、新聞社や政治の思惑に単に誘導されているに過ぎないのである。おわかりであろうか。教育とは知性とは、本来、そういう理解が自然と自分の内側から泉のように湧いてくるところの所産ではないのか。