龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

イギリスEU離脱とドル不足

なるほど、そういうことか。少しだけ見えてきたような気がする。いや、本当は何も見えていないのであろうが。23日に控えたイギリス国民投票の結果は予測し難いが、最近の円高の動きがEU離脱へのリスクに備えて、安全性の高いとされる円に避難し、織り込んだものであることは間違いない。この流れは投票結果が確定される前段階の動きであって、それでは離脱が可決された直後に相場がどのような展開を見せるかということであるが、日経新聞の記事にも掲載されていたが、日銀がドル不足の事態に備えて速やかにドルを供出し得る準備をしているということである。これはどういうことかと考えるに、イギリスの離脱が可決されるとユーロが不安定になるので、ユーロで決済していた企業がドル決済に変更する動きが発生し、ドルの需要が急増するということなのであろう。ここにおいて基軸通貨としてのドルやユーロと、そうでない円の違いが明確に顕在化するものである。世界中の投資家が円を買うという動きは、自国通貨の暴落のリスクを回避するために避難している性質のものであって、それは単に通貨の資産価値の問題で、円に実際的な需要が発生している訳ではない。国民投票の結果が確定する前の段階では、実需とは無関係に資産価値を維持しようとなす取引が主体となるので、円が急騰するのは当然であるが、いざ離脱が可決されると決済通貨としてのドルの需要性が高まり、ドル買いに移行してゆくことになるのであろう。ただそうは言っても、ポンドやユーロの不安定性から、資産価値が高いと見做される円に避難する動きが、離脱可決後に0になる訳ではないから、ドルも円も買われるのである。同じように買われても世界で流通している通貨量で比べれば、ドルは円よりも圧倒的に多いであろうから、ドル円の推移で見れば、恐らくは円高がある地点で止まり、そこから緩やかにドル高に変わっていくのであろう。現時点ではドルを売って円を買う動きがあるが、離脱可決後はドルの世界的な優位性が高まるゆえに、そのような動きは小さくなっていくのではないか。つまりドルの価値は、相対的に円に比べても強くなっていくということである。しかし投資家の心理や需給関係とは別に政治の動きもあるであろうから、値動きは複雑である。ドルの需要が高まって世界的に不足する事態となれば、いずれはアメリカ政府はドルの大幅な新規発行と金融緩和に突き進み、金利の引き上げも先延ばしすることで一定以上のドル高にならないように調整することが予想されるからである。そういう背景から具体的にドル円の推移は、離脱が可決された場合、100円台まで円高に進んだ後に反転して110円近辺まで円安に戻り、そこからまた円高に向かって流れていくような展開になるのではなかろうか。まあ私の予想であるから、ほぼ当たらないであろうが。
さてそれで問題の投票結果がどうなるかであるが、正直に言って余所の国のことなので微妙な国民感情や情勢などのことがまったくわからないので何とも言えない。ただ直感的に感ずるところでは、残留派が逆転したなどとも言われているが、まだ離脱派の方が優勢なように思えてならない。個人的にはドル円と豪ドルの買いポジションを持っているので、残留になってくれた方が助かるのであるが、なかなか厳しいかも知れない。なぜそう思うかと言えば、やはり移民の問題が大きいのであって、日本も同じであるがイギリスも島国であり、島国の人間は海を越えて他国の人間が大量に流入してくることに対する本能的な恐怖や嫌悪感が遺伝子に刻み込まれているのではないかと思えるからである。またイギリスは階級社会の国であり、上流階級の人間は移民と住む場所も異なるであろうし、日常的に接する機会もなければ職場も重ならないであろうが、中流、下級の人間は移民に仕事を奪われたり、住んでいる地域の治安が劣悪化することに敏感で、かなり強固な拒否反応を示すであろうと考えられるからだ。それで国民投票となれば、数的には中流下流の人間の方が圧倒的に多いであろうから、離脱となる可能性の方が高いように思えてならないということだ。まあでも女王であるとか王室の人間が残留を望んでいるのであれば、その影響力が国民に対してどれほどあるのか、これまた日本と同じ君主制国家の在り方として非常に興味深いところである。