龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

地獄へのスパイラル

デフレ、円高、株安の三要因が、負のスパイラル構造となって日本の経済を地獄の底へ誘おうとしている。本来、日本政府はこの三要因をそれぞれ別個に分析し、長期的に適切な対応をしなければならないものであろうが、日々の流動性の中で、三要因が密接に影響し合い、常に新たな局面を現出させているので目が離せない動きとなっている。どのようなプロセスで三要因が影響しているかと考えると、相場として動いているのは、円高→株安と株安→円高の2パターンであって、デフレ(物価)は相場によって形成されているわけではなく、円高や株安の土台となる基礎的な環境条件であり、総合的な構造問題の帰結である。政府や日銀はデフレ脱却に取り組む財政緩和の姿勢によって、何とか円高を阻止しようと目論んでいることは明白であるが、現実には日本の財政規律と健全性が壊れていくだけでデフレが解消される見通しはまったく見られないし、円高はどんどんと進行していくし、それと同時に株安にもなっていく三重苦から逃れられない状態となっている。それでは日本にとって何が根本的な問題なのかと考察するに、これは何度も繰り返さなければならないことであるが、経済分析やその対策方法は畢竟するところは皮相的な問題に過ぎないのであって、最終的には日本の政治の「自由度」が低過ぎるということに行き着くものである。本来であれば目先の円高を政府、日銀の為替介入で何とか食い止めた上で(果たして為替介入の効果がどれほどあるかは別問題であるが)、円と株価を一定の振幅に安定させた上で、デフレの対策にじっくりと腰を据えて取り組んでいくべきであるのに、日本の政治にはその自由がないから、本末転倒にもデフレ対策としてのマイナス金利財政出動の市場に対するアナウンス効果によって何とか為替をコントロールしようとするので、ますます政治が経済の実体からかい離し、日本の財政の不健全化が強化される事態ともなっている。国際社会のグローバル化の中で、独立国家としての根本的な自由度の欠如は、その欠如の実態を国民の目から覆い隠して、民主主義社会としての幻想を維持させなければならないという必要性こそが実は何よりものコスト要因であり、危機を回避し得ない最大のリスク要因ともなっている。もちろんそのような日本であっても、自由度が欠落していても「運」が良ければ経済も政治も好循環するものである。たとえば昨年までは構造的なデフレであるにも関わらず、円安であったので株価も好調で、大量の中国人が日本に観光にやってきて爆買いしたりであるとか、アベノミクスの効果が生かされているような状況ではあったが、それも全ては政治の成果であるというよりは、対外的な協調路線の枠内でたまたま日本の利益が一時的に生み出されていただけのことであって、本質的な部分では日本の自由度が欠落していることに何一つとして変わりはないものである。ともかく日本は対外的に働きかけて利益を生み出したり、危機をコントロールすることが何一つとしてできなくて、結局していることは国内の「調整」ばかりなのである。その調整にマスコミの報道であるとか法案なども含まれていて全てが内向きであり、極論すれば全てが緩やかな洗脳であるのだ。
(仕事が忙しいので次回に続く。)