龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

自殺へと向かう日本の金融、財政

自民党や日銀の行っている金融政策が、どうも信用出来ない。日本のGDPが500兆円で、マネタリーベースが400兆円にまで膨らんでいる。その上、今後年間80兆円増やしていくと宣言しているので、1~2年後にはGDPよりも市場に出回る金の方が大きくなることになる。現実的にデフレの解消効果が見られないのに、ここまで無茶苦茶に財政緩和を推し進める必要性があるのであろうか。仮にあるとしても、国の財政規模を紙幣の増発や日銀の国債の買い入れで、いとも容易に拡大出来ることを実証しているのに、確実に景気の減退要因になる消費税増税固執する理由がどこにあるのか、ということである。
 
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グラフを見ていただければわかる通り、この4年間でマネタリーベースは、約3倍になっている。これはとんでもない増額である。折れ線では分かり難いので、各年1月時点の実数データを表示すると以下の通りとなる。
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2012年1月から2012年1月の増加は約12兆円であるのに、安倍政権が始まった2013年から毎年70兆円も拡大し、直近の4年間で何と3倍の規模にまで膨れ上がっているのである。日本のGDPは経済の成熟化と消費の低迷によって、この20年間ほぼ500兆円前後で一定しているのに、つまり景気はまったく良くなっていないのに、金の量だけが僅か3年で無理やり3倍に水増しされているのだ。その一方でGDPが20年間もの長期間に及んで頭打ちになっている根本的な構造改革を顧みることなく、さらなる景気衰退とデフレ要因にしかならない消費税増税だけは、延期しながらも中止にしようとはしないのだから一体何を考えているのかということである。財政の健全性や国民生活を破壊させる方向に舵取りしているだけの政治である。折れ線グラフの見方について説明すると、青線のマネタリーベースは、赤線の日銀の当座預金残高に日本銀行が発行する紙幣と政府発行の硬貨を足した合計である。市場に出回っている金(青線と赤線の差額部分)は、グラフを見てもわかる通りほぼ一定していて、実数で言えば約90兆円前後でほとんど変化していない。それでは何が増えているかと言えば、言うまでもなく赤線部分の日銀当座預金残高である。市中銀行が日銀に預けている金の全体合計である。市中銀行はこの日銀当座預金を原資として、各企業や個人に貸し出しを行っている。この赤線が何でこんなに急増しているのかと言えば、各銀行が集めている預金や運用益が増えているからではない。政府の指示で日銀が市場の国債を買い集めて、それを市中銀行に低利で貸し付けたり、市中銀行保有していた国債日銀当座預金残高に付け替えているのである。いかに日本の大企業や銀行が莫大な量の国債を持っていたかということであるが、それも今ではもう枯渇しかけているようであり、財政緩和の限界に近付いているなどとも言われている。それで現在では、ETFとかという株価に連動した投資信託を買うことに日銀は方向転換し出しているようであるが、本当にもう脇目も振らずと言うか、何でもありであり、こんなことをこれからも続けていて日銀の健全性が無茶苦茶になってしまうのではないかと危惧されるものである。そこまで必死になってデフレ脱却に全力を注いでいる結果がどうなのかと言えば、緑線の法定準備金であるが、これは市中銀行が民間の企業や個人から集めた預金に一定の割合(法定準備率)を掛けた金額を、強制的に日銀の当座預金に預け入れさせられているものである。民間銀行は預金を担保にして貸し出しを行っているのであるから、この部分の推移がすなわち日本の景気動向を表しているということとなる。グラフ上では底辺にべたっと苔のように張り付いていて、増減がわからないが、これでも微かに増えてきているのである。その増えている部分が政府の財政緩和による成果ということになるのであるが、青線と赤線が一目瞭然に増えているのに対して、目を凝らして見てもわからないほどである。そういう状況であるにも関わらず、今後とも毎年マネタリーベースを80兆円増やして、新規国債や外国債の買い入れも減らさないと言っているのである。これはほぼ日本の財政の自殺行為であると言えるのではないのか。それからマイナス金利などと言っているが、その一語のイメージに騙されてはならない。赤線の日銀当座預金残高の内、210兆円相当部分は基礎残高として区分されていて、何と信じ難いことにその210兆円に対しては、マイナス金利どころか日銀は市中銀行に対してプラスで0.1%の金利を付けているのである。通常は当座預金金利が付かないのが常識である。一般の民間企業が何百億円、当座預金に金を入れようとも金利は0である。当初は日銀の当座預金も0金利であったのだが、何でこのような不可思議な事態になったのかと言えば、2008年のリーマンショックの直後に外国銀行の日銀当座預金残高が急増していったのであるが、外国銀行がそれに対して金利をつけろと日本の政府に要求し、それを例のごとく唯々諾々と受け入れた結果なのである。日本の銀行は、そんなはしたないことを政府や日銀に要求したりなどしない。信じられるであろうか。信じられないかもしれないが、日銀や日本政府はそもそも日本のためには存在していないのである。