龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ドル円90円台定着を目論むアメリカ勢力

最近の為替(ドル円)の特徴として、ニューヨーク市場が始まる日本時間22時(今は夏時間なので21時か)ごろから急激に円が買われ始めてドル安になる傾向がはっきりと表れている。嘘だと思われるならどこかのチャートで確認していただければわかると思う。今日(22日)もそうであったがニューヨーク市場が始まるまではドル円相場は上昇するのだが、ニューヨーク市場が始まる夜9時ごろから降下するのである。私はそうするつもりはないが、その傾向性を生かしてドル円の売りで儲けられるかも知れない。これはどういう要因によるものであろうか。恐らくは水面下の政治的な動きなり意図を反映しているのだと私は推測する。為替について著書を書いているようなアナリストや学者などは為替相場取り引きの一日当たりの規模が、世界全体で数百兆円にも及んでおりドル円の取引高はユーロドルに次いで2番目に多いので、とても政治の思惑が反映されるものではない、そんなことが可能であるならそもそも中央銀行による為替介入の必要性が存在する余地がないではないかと一笑に付すかも知れないが、果たしてどうであろうか。確かに日本の政治と円相場について言えばその考えは当て嵌まるであろうが、ドルについてはどうであろうか。資本主義社会共通の行動原理として、巨額の資金を動かし得る機関投資家のモチベーションは利潤を求めること以外にあり得ない。政治権力の思惑や意図がどうであろうが無関係であって、為替相場に影響を与える各国政府の金融政策だけが問題とされ意識される要因である。教科書的にはそういう解説となるが、現実的には私が見ている限りにおいては、最近のドル円の動きは、アメリカ政府の全体のとまでは言わないが、一部か相当部分の意図を外国投資家が追随するような円買いの動きになっていると思われる。もっとはっきりと言えばアメリカは現時点においては、利上げをするかどうかは別問題として、つまりそこまで一体化した動きとまでは見られないと言うことであるが、ドル円相場の100円突破と定着を目論んでいるように感じられる。そしてそれに対して日本政府は、いや正確に言えば政治家ではなくて日本の財務省が必死になって抵抗している姿が目に見えるかのようなのである。これがドル円100円ラインを巡る攻防であって正に今現在も継続していると推測される。100円近辺にまで下がって来て、100円を割ってああもう駄目だ、95円ぐらいまで円高が進むのかなというような状況になってもどういう訳か日本にはあり得ないような不屈の力でまた100円台に押し戻してしまうのである。そしてまた翌日のニューヨーク時間が始まると100円割れを目指した空爆のような円買いアタックが開始されるのである。この繰り返しだ。では日本の防衛力は何に頼っているのであろうか。日銀の為替介入は封じられているので、また口先介入も最近ではオオカミ少年のようになってしまってほとんど効力がないし、日銀総裁のサプライズ発言なるものは裏目に出ることが多くなってきている始末である。恐らくは100円割れの危険性に際して、財務省の要請で年金基金を運用しているGPIFの金が米国債券か株式購入に断続的に投入されているのではなかろうか。よくはわからないがそうでもなければ今のドル円チャートの動きは説明し難いように私には思われる。中央銀行による為替介入に対しては、確か毎月正式に公表しなければならないことになっていたはずである。他国にわからないように黙ってこっそり実施する訳にはいかないのだ。それに対してGPIFによるドル買いは、名目上は為替操作ではなくてあくまでも運用なので、一々他国(アメリカ)の許可を得たりお伺いを立てる必要性がないのだ。本当は日銀の介入であっても自主権の範囲内のことなので米国の承認など不要なのであるが、日本の政治にはその自由がないのである。GPIFの運用実績については、民主党民進党でなくて民主党でよい)などが27年度は五兆円のマイナスを出しているなどと批判していたが、一期分の数字だけでそういう主張をすることはフェアではない。なぜならGPIFのホームページを見ればわかるが、黒字運用の年度の方が赤字運用の年度よりも多くて、また総体的に黒字額が赤字額よりも大きいのである。平成27年度は5.3兆円の赤字であったが平成17年度がら平成26年度までの10年間の通期で見れば、計46.3兆円もの黒字なのである。よってGPIFの金を運用してこれ以上の円高を防ぐ措置自体は私は間違っていないし、今の財政状態でドル円が90円台で定着してしまえばそれこそ国家存亡の危機であるのでやむを得ないことであるが、いかんせん効果が薄い。いくらつぎ込んでいるのか、つぎ込んでいないのか知らないが、仮につぎ込んでいるとしても数十銭程度の円安効果で、それも一時的なものである。長く持って半日程度か。それでまた翌営業日にはアメリカの機関投資家が、米国政府の意向を受けて100円割れを狙って、円買いアタックを盛んに仕掛けてくるのである。アメリカの一部勢力は、こんな自主性のない日本の政治であってもまだ屈服の仕方が足りないと考えているのである。本当に嫌なやつらだ。