龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

日銀当座預金プラス金利の疑惑

日銀がマイナス金利の「深堀」とかと言うのであれば、先ず日銀当座預金の基礎残高部分(約210兆円)に付利されている0.1%の金利を廃止することが筋道であるはずなのに、どうしてそのことについては討議の対象になされていないのか怪しげである。そもそも日銀は、責任逃れのような財政緩和についての政策方針についての弁明をする前に、このプラス0.1%の金利を日銀当座預金に付利することに決定した経緯と判断を「国民」にきちんと説明する必要性があるのではないのか。日銀の役員たちはどうも勘違いしているようであるが、日銀が説明し、理解を求める対象は一部の投資家やマスコミ、金融機関だけでなく全ての国民であるはずだ。馬鹿にしたように国民の存在を蔑ろにしてもらっては困るのである。ところでマイナス金利ではない、プラス金利に疑問を感じた識者は少なくなかったようで、たとえば経済評論家の三橋貴明氏が、直接、麻生財務大臣に質問した内容が2チャンネルに記載されているが、
それによれば、麻生氏は「日銀当座預金金利をつけなければ、銀行が日銀に国債を売ってくれなくなるため」という「本末転倒」(三橋氏の感想)の回答をしたということである。確かにこれは本末転倒の説明ではあるが、そういう問題ではなくて、この説明そのものが「嘘」である。なぜなら日銀の金融政策決定会合においてマイナス金利が決定されたのは今年2016年1月29日であるが、日銀当座預金法定準備金を越えた部分に対してプラス0.1%の金利付利が決定されたのは2008年10月30日である。実は8年も以前から、日銀当座預金へのプラス金利は実施されていたのだ。それよりも、2008年10月とは麻生氏が総理大臣であった自民党政権の時期である。つまり麻生氏の「銀行が日銀に国債を売ってくれなくなるため」などという説明は嘘八百で、当時の麻生氏自身が総理の権限で、日銀に決定させたようなものなのである。2008年は自民党政権であることには変わりはないが、安倍総理によるアベノミクスが始まるはるか以前であって、日銀の国債買占めによる財政緩和政策など行われていない。日銀ホームページから調べたデータによれば現時点での日銀当座預金残高は303兆300億円であるが、プラス金利が決定された、2008年10月時点は9兆7151億円である。何と31倍もの開きがあるのである。自分でやっておきながら、よくもそんな他人事のような無責任な説明ができるものだな。呆れて物も言えないとはまさにこのことである。三橋さん、政治家はこのように平気で嘘がつける生き物なのです。政治家の説明を額面通りに受け取ってはいけませんよ。
それに対して日銀の行員は、政治家に比べれば、まあ当然と言えば当然のことであるが正直である。最近私が読んだ『不可解な日銀の謎に迫る』(栗原茂男、桜の花出版)によれば、著者は2011年当時に日銀当座預金に利息が付くことの疑問を親交のあった民主党藤田幸久議員に話したところ、後日、藤田議員は議員会館の事務所に日銀マンを二人呼びつけて、著者にも来させて説明させたということである。藤田議員自身は日銀マン二人を著者に紹介してから3・11の後ということもあって、被災地でもある茨木の地元に行かなければならないために部屋を出て行ったということである。そして、そこで3人で話し合われることになったらしいのであるが、「彼らは何故利息を付けるかを、外銀が利息を欲しがる立場から、一生懸命説明します。」ということで、「それは日本国民にとっては関係ない話。むしろ日本国の通貨発行権を預かる御用商人の民間企業が外銀に利益の便宜を図っていることこそが問題なのです。」との考えの著者と全然、話が擦り合わなかったということである。そして最後には日銀行員は著者に「そんなことを言っているのは貴方だけですよ」という捨て台詞を残して部屋を出て行ったということであった。
さて、皆さんどうでしょう。麻生財務大臣の説明と栗原茂男氏が日銀行員から受けた説明を比べて、どちらが信憑性と真実味があると思われるでしょうか。これらのことから麻生という政治家が、或いは麻生氏だけでなく自民党の政治と言うものが、日韓通貨スワップ協定をきわめて「安易」に再開させようとしていることも含めて、どういう人間で、どういう体質なのかということがよくわかるのではないかと思われる。
ともかくも現在の日銀は、マイナス金利、深堀の可能性を探ることよりも、プラス金利を導入した経緯の疑惑についてきちんと調査した上で、国民に説明すべきではないのか。2008年当時にどこの外銀がどのようなルートで、そしてどのような方法で、政府及び日銀に圧力をかけたり、要請してきたのかについて具体的に説明する責務があるはずだ。当然、麻生氏も当時の首相であり最高責任者であるのだから、適当なごまかしなどせずにきちんとこのような疑惑に対して答えなければならない。またそういうことを追求することが野党やマスコミの本来の役割ではないのか。そういうことがタブーのようにいつまでもなおざりにされているから、日本には政治も報道もないと言わざるを得ないのである。