龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

新たなトランプリスクとドル円と日本の政治

ドル為替の大統領選期間中と直後の値動きを見ていると、いかにもアメリカ的という印象を強く受けた。トランプリスクなどと呼ばれて、日本時間11月9日の開票作業中にトランプ氏当選の可能性が濃厚になってくると、一気に4円近くもドル安円高に振れたのに、いざトランプ氏の当選が確定すると、その後も円高が続いて100円割れは必至だと思いきや、反対に急激にドルが買い戻されてその日の終値始値よりも50銭上回るというかなり乱暴な値動きとなった。そして翌日の10日も1円以上のドル高で終了した。選挙前にあれほど危惧されていたトランプリスクはどこに消えたのかと訝しく思ってしまうが、恐らくはこれがアメリカ人の(ドルの売り買いをしている人はアメリカ人だけではないが)メンタリティーなのである。アメリカだけでなく、相場と言うものはそういうものかも知れないが、クリントンかトランプかという不確定要因を抱えている間はどちらか一方が(今回の場合はトランプ氏が)、大勢の安定を混乱に導くリスク要因として、相場は極端にリスクオフに動いていくものであるが、大方の予想に反していざトランプ氏が大統領になることが決定するや否や、悪目は出尽くしたとマーケットは勝手に判断して、途端に今度はリスクオフからお祭りブームに一変しドル高基調となるのである。その変わり身の早さがあまりに急激かつ極端であり、ちょっと付いていけない部分があるが、アメリカ的なメンタリティーとは、たとえばオバマ大統領があれほど仲の悪かったはずのトランプ氏をホワイトハウスに招いて会談し、笑顔で祝福したりであるとか、一旦、結果が出てものに対してはその結果を躊躇なく瞬時に受け入れるという特性があるように感じられる。しかしである。それを一概にアメリカ的とは表現できないのであって、確かに政治とマーケットは目が回るような変わり身の早さで動き、昨日の敵は今日の友となり、ドル安はドル高になるのかも知れないが、一般市民の感覚は、そこまでめまぐるしくは変われないようである。全米の各地でトランプ大統領を拒否するデモ活動が発生し、不穏な気配が立ち込めはじめている。相場は1秒単位で未来を予想して、結果が出ればその現実に順応しつつ、祝福もするのであるが、なぜならそうしなければ生き残れないからであろうが、一般市民の日常的な生活感覚や思想、国家観というものは、いかに民主主義であるとはいえ許容限度を超えた現実を即座に受け入れることは難しいのであろうと思われる。これまでは予想し得なかった新しいトランプリスクが顕在化しつつある。為替相場は今のところは、12月の利上げ予定と新大統領決定の御祝儀ムードでドルが買われドル高基調であるが、来週あたりから恐らくはお祭り相場から、徐々にトランプリスクに対するリスクオフへと重心が移り変わっていくのではなかろうか。今の調子でドル高が続くとは到底思えない。もう既に頭打ちの兆候は現れているようにも感じられる。政治的な観点から見れば、私は前にも述べた通り、トランプ大統領は日本にとってみれば、日本が生まれ変わるための千載一遇のチャンスであることは間違いないと考えられる。しかしそれは日本が自主的にこの好機をそのように生かそうとする意思があればこその話しであって、ないのであれば何も変わらない。結局、日本はいろいろな意味においてアメリカ頼みではなく、内在的な内圧によって変容していかざるを得ないものである。憲法改正はそのための国民精神的なエポックメイクとなるものであって、極論すれば第何条をどのように変えるかということなどどうでもよいのである。戦後秩序の在り様を打ち壊すといえば語弊があるであろうが、改変していかなければならないし、そのためには憲法改正は避けて通れない道である。それからトランプ大統領について付け加えるならば、日本にとってのトランプリスクも確かにある。それはトランプ大統領が政治については全くの素人であり、大統領に就任してから政治を学んでいくものであって、これは日米関係においても一歩間違えば何が起きてもおかしくはないという危険性を孕んでいる。もう一つは世界中の多くの人が心配し、また批判するようにトランプ氏が人種差別主義者であることは、まず間違いないであろうと考えられるということだ。トランプ氏の父方がドイツ人家系であり、金髪碧眼のアーリア人種優性のヒットラーの思想と通ずるような思想がトランプ氏の根底には伏在しているであろう。オバマ大統領が嫌悪して当然の人物である。陰謀の匂いはしないけれど差別主義の匂いは濃厚な、アメリカファーストを標榜する、政治に素人のアメリカ大統領が誕生したという訳だ。