龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

AVスカウト契約の問題性について


安倍政権は昨年に全国の警察に対して、AV出演強要問題担当の「AV対策専門官」を配置するように指示したとのことであるが、警察は一体に何をするのかということである。例の如く、安倍総理及び自民党のこの姿勢は2016年に米国務省が発表した「人身取引報告書」において「日本政府は人身取引撲滅のための最低基準を充分に満たしていない」と指摘されていることが背景になっているようであるが、見せ掛けの形式を整えて対外的に取り繕っているだけである。AV出演強要は、スカウト活動による契約の在り方に問題があることは明白なのであるから、法律なり民事上の問題であり、現行の法律のもとで警察が何か介入できるようなことではないはずだ。今更のことではあるが、日本の政治にはこのような意味不明のパフォーマンスが溢れている。契約が締結されているのであれば、AV製作者側はその契約を履行せよと女性に迫るのは当然のことである。それに対して、警察が間に入って何と言えばよいのかということである。AV出演強要に問題性があるのであれば、それは契約に至るプロセスの問題であって法律で規制対処しなければどうにもならないものであるはずだ。
常識的に考えてもわかることだと思われるが、たとえば街中で声をかけてどこかの会場の一室に連れていかれ、そこで複数の人間に囲まれてその場の断りにくい雰囲気のもとで、高額の貴金属や布団などの分割払いを契約させられることが横行しているとすれば誰もが社会問題であることを認めるであろう。AV出演の契約もそれと同じである。ただし異なる点は、貴金属や布団の購入を契約させられた人間は金銭を支払う義務が生じるものであるが、AV出演契約の女性は反対に金をもらえる立場であるということである。これまでAVが社会問題としてほとんど表面化してこなかった理由は、最初の内は女性もAV出演に抵抗感を見せてはいても最終的には同意したり、納得するケースがほとんどであったからであろうと想像されるものである。警察が不法猥褻ビデオ販売摘発で押収するアダルトビデオは何十万枚という数である。それだけの膨大な数のAVが制作されて、それだけの女性が出演しているということである。それらの中で奴隷のような立場で出演強制されている女性が一定割合で存在しているのであれば、いくらなんでも昨年度まで社会問題化してこなかったことは考え難い。よってほとんどのケースでは事後的に同意しているか、或いは同意させられているのである。最初はAV出演などまったく考えていなかったし、そのつもりもなかったが、いざ体験してみると周りのスタッフは皆、親切で現場は楽しいし、気持ちもよかったから満足した。これでこれだけのお金が貰えるのであれば一回だけでなくもっと出演したいというようなことではなかろうか。しかし3回、4回と出演を繰り返している内に、女性はいわゆる顔バレの心配が生じてくるであろうし、またいつまでもこのようなことをしていてはいけないという気持ちにもなってくる。AV製作者側にしても女性が3~4回出演してくると、当初の恥じらいであるとか初々しさがなくなってきて商品価値が減じてくるので御用済みということになるのだと思われる。それで次々と真っ新な女性をスカウトで探し出してきてAVに出演させていくことになる。またそうやって年間に膨大な数の女性がAV出演することによって、出演する女性にとっても顔バレの可能性が小さくなっていくので、製作者と出演者の双方の利益になるのである。AVビジネスとは恐らくはそういう世界なのである。だから言うまでもないことだが、契約したり出演する女性の方にも問題と言うか責任はあるのだと思われる。しかしそれでもやはりスカウトによる契約の在り方には問題はあると思われる。契約と言うものは、不動産の購入でもプロ野球の入団でも何でも同じであろうが、双方が対等な立場で冷静な判断力が行使できる環境のもとで締結されるものである。それが街中でいきなり声をかけてどこかにつれて行って、芸能界やモデルデビューなどの夢をみさせて裸にさせるというのでは真っ当な感覚で言えばいかがわしい契約ということになるであろう。よって撲滅すべきはAVそのものではなくてスカウトによる契約なのである。当たり前の話しではないのか。