龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

酒と精神と肉体について

酒で失敗して引退を余儀なくされる不祥事が芸能界では流行りのようである。未成年者への猥褻行為とか、飲酒運転での轢き逃げなどである。まあ生活に困らないのであれば、「チャラチャラ」しているだけの芸能界など引退して、ゆっくり自分自身や自分の人生について深く考察する時間を過ごすことが、少なくとも魂の向上という観点から見れば有意義なのではなかろうか。確かにあるレベルで見れば、自分の人生に起る出来事の現実は、表層意識においてはどんなに認め難い、信じられないことであっても、自分自身が引き寄せて作り上げているのである。日常生活の忙しさに流されているとそういう視点や認識が持てないだけである。ただしそうは言っても、いわゆるスピリチュアリストや霊能力者や教祖の言うことを信用したり、感化される必要性はない。世の中にはそういうことがわからない人が多過ぎる。なぜなら彼(彼女)らもどんなに立派なことを言っていても、ある意味においては常習性と依存性の高い「酒」みたいなものだからだ。むしろそういう人種の方が、酒などよりよほどタチが悪かったりする。結局、自分の奥底から湧き出てきたり、思索から導き出されるメッセージが全てなのである。酒に溺れるのも、宗教や霊能力に溺れることと同じであると知るべきだ。
自分自身のこと話せば、私は2014年の11月から今年2018年の41日まで35か月の間、断酒をしていて本当に1滴の酒も飲まなかった。その訳は一言で言えば健康上の理由ということであるが、少し詳しく説明すればアトピー性皮膚炎を治すためであった。私は元々はアトピーではなかったのだが、20135月の50歳の時に突然原因がわからないアレルギー反応が身体全体に湿疹となって現れ、その後1年8か月にも亘って町の皮膚科医で出される高強度のステロイド軟膏を医者の指示通りに「真面目に」塗り続けた結果、症状がこじれてしまっていつの間にか「立派な」アトピーになっていたものである。経験のない人には、医学的な知識のない素人が嫌味で大袈裟に言っているように思われるかも知れないが、そんなことはなくて(ごく一部の金儲け主義ではない良心的な医者は認めていることであるが)、ステロイド軟膏を長期間に亘って多用すると単一要因のアレルギー反応に過ぎないものが、ステロイドの副作用やそれに伴う免疫力の低下によって根治が極めて困難なアトピーになってしまうものである。実際に私はそのような経過でアトピーになってしまったものだ。結局、私の元々のアレルギー反応の原因は歯に詰めていたアマルガムに含まれている水銀であるということがようやく判明し、その充填物を歯医者で除去してもらったことで症状は飛躍的に軽くなったのだが、強いステロイド軟膏を長期間、塗り続けてきた弊害と脱ステロイドでいきなりストロイドを止めてしまったことのリバウンドによる激しい皮膚炎が外見的にはいわゆるアトピー症として残存し続け、大変に苦しめられることになったものである。一般的には50歳にもなってアトピーになってしまえば一生、治らないなどと言われている。食生活やストレスを貯めないことを注意しながら、「適切に」ステロイド剤の強度や量を加減しつつ日常生活を過ごすことが、アトピーとの「正しい付き合い方」であるなどと推奨されている。私は安易に大量のステロイドを処方して、体内のホルモンバランスを滅茶苦茶に破壊され、アトピーの身体にされたことへの皮膚科医や医療行政に対する激しい恨みの感情があったので何とか自力で根治させてやろうという執念に近い気持ちで、免疫力を回復させるべく断酒したのであった。
世俗的な目で見れば私が被った経験は、金儲け主義的医療の被害者と分類できるであろう。実際に私は今でもそうだと考えている。町の皮膚科が安易に薬を出し続けるだけのビジネススタイルをいくら批判しても批判し足りない気持ちである。しかしもう一方ではそういう私が経験した人生の経緯は、私自身がそれまでの生活習慣や酒などの常習性の高い嗜好品との付き合い方、もっと言えば生き方を見つめ直し、改めるために自分自身が「選択」して作り出した現実であるということも今となってはよくわかるのだ。私は犯罪や中毒などの反社会的な行為の結果によるものではないから誰からも批判される筋合いのものではないが、それでも自分自身の考え方やそれまでの生活習慣に向き合うためにプチ地獄の如きアトピーに成らざるを得なかったという形而上的な意味合いでは、酒の失敗で猥褻行為や轢き逃げで捕まることとさほど違いはないのかも知れないということだ。離婚もそうだけれどカルマということもあるだろう。そういう苦境の時にどう考え、どう生きるかということで真価が問われているとも考えられる。恐らくは人生とはそういうものなのであろう。
私が断酒して第一に思ったことは、結果的に断酒がアトピーの根治に最も効果的に作用したと考えられることの裏返しであるが、日常的に酒を毎日、飲み続けるという習慣は想像以上に身体に対する負担が大きいということである。断酒するまでの私は体質的に酒が強く、またそれなりに好きでもあったのでそれまで20年以上に亘って、ほぼ毎日ビールやウイスキーなどを飲み続けてきた。それでも別に30歳代や40歳代前半ぐらいまでは何ということもない。しかし50歳ぐらいになってくると人にもよるであろうが途端に状況が変わってくる。目には見えないことだけれど体内で毎日、酒を分解し続けることは肉体にとって、ある一定の年齢以上においては何かを犠牲にして行われる働きであるということである。何を犠牲にしているかと言えば、正常な健康を維持するための代謝に使われる酵素である。だから酒の分解だけではなくて、一般的に食べるということに付随する消化も同じである。体内に取り込んだ食物を消化するためには、大量に酵素が消費される。若い時には免疫力が高いから多少の暴飲暴食は何の問題もない。ところが50歳ぐらいになってきて免疫力が20歳代の半分程度に低下してくると、体内の酵素をいかに有効的に利用するかということが病気の発生と深く関連してくる。癌の発生メカニズムも同じだと考えられる。癌細胞や将来的に癌化する細胞レベルの転写ミスやダメージは、一日に数万個のレベルで発生していると言われている。だが若い時には免疫力が高いので白血球の働きによって処理されてしまっているものである。ところが加齢によって免疫力が低下すると癌細胞の増殖を阻止することができなくなって、結果的には二人に一人が癌で死亡するという事態になっている。だから免疫力が低下する年齢になれば酒の分解や食べ物の消化に使われる酵素と余計な体内の負担をアトピーや癌などの病気を発生させないための代謝に温存し、振り向けさせなければならない。この辺のことは政治による富の配分機能と同じ理屈である。財政が潤沢であれば社会福祉であろうと軍事費であろうと使い道に頭を悩ませる必要性はない。しかし財政が枯渇してくると常に優先順位を考えながらやり繰りしていかないことには国家そのものがやがて破綻してしまうことになる。体内の働きも、節約すべきは節約して生命線に直結することに集中させていかなければ必然的に何らかの病気になるということであろう。これらのことは酵素栄養学の第一人者である鶴見隆史氏の著書から得た知識であるが、私のこれまでのアトピー治癒の実践においても正しいものであることがわかっている。全ての人が基本的に押さえておかなければならない必須の理解であると思われる。
次回に続く。