ある日の出来事
『ルーブル美術館展』最終日の11月5日(日)、京都市美術館に行ってきた。
最寄の駅を出て美術館への途中、面白い風景を見た。浅瀬に流れる水のなかで小さな子供とおじいさん
が、その小川に覆いかぶさるように実っている柿を剪定を兼ねてなのか枝ごと刈り取っていた。珍しく
て、気持ちよさそうな風景だったのでデジカメを取り出して撮影していると通りがかりの綺麗な女性が話
しかけてきてくれた。
「へえー、面白いですね、私もデジカメ持ってくればよかったな。」
のどかで平和な景色を前にして、しばしその女性と歓談した。天気もよく爽やかな、とてもいい一日だと
思った。
でも、そうでもなかった。美術館に着いたところで、また馬鹿女(別居中の妻)から携帯に電話がかかっ
てきた。私にすぐ切られると思ったのか息子に喋らせている。金を振り込んで欲しいと子供に代弁させて
いるのだ。私は毎月きちんと生活費を送金している。それ以上の要望は妻についている弁護士を通してく
れれば話し合いに応ずると何度も言ってあるのに、いつも直接私に電話やメールをしてくる。弁護士を経
由すれば自分の無茶苦茶な要求が通じないということを本人がよくわかっているからである。だいたい子
供に金を催促させるなんて誘拐犯が身代金を要求する手口と変わらないじゃないか。
とたんに私の気持ちは憂鬱に曇ってしまった。それだけではない。美術館の中では下痢でトイレに何度も
駆け込んだ。この頃、あの馬鹿女から電話がかかってくると神経的なものなのか腹の調子がおかしくなる
のである。
美の女神、アフロディテどころではなかった。