龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ブラッディー・マリー


場末のバーの片隅で、

酒を一杯飲むごとに

私の魂は沈んでゆく。

あれやこれやと考えながら

深く、深くゆっくりと

海の底に落ちてゆくように

私の魂は沈んでゆく。

そこではもはや日の光は差さず

景色すらなくて、誰も誰もいないところ。

そんな暗くて寂しい虚無の場所で

何故、私は想うのか

死にゆく、見知らぬ子供たちの気持ちを。

食事を与えられず、叩かれて

もう、お家に帰りたくないようと叫びながら

餓死してゆく子供の気持ちを。

一人部屋に残され火事になり

火と煙に苦しみながら

焼け死んでゆく子供の気持ちを。

橋の欄干から突き落とされたり、首を絞められて

殺される子供の気持ちを。

見知らぬ人に追いかけられて刺し殺される子供の気持ちを。

高層マンションのベランダから転落する、

車にひき殺される

雑踏で押しつぶされる……

想う、想う、想う。

想いながら何もしないで

飲みながら、酔いながら

沈み沈んで、深く深く何もないところで

私はひとり

自らの運命に流されて

孤独の闇の深さを知り

宿業の呪いに飲まれながら

目の前に確かに存在する

子供たちの血色に暗く輝く

悲しい、悲しい珊瑚のような赤色の

ブラッディー・マリーを飲み干す。