生きること、書くこと 95
神秘学者シュタイナーの本を読むようになってから、妙に印象深い夢を見るようになった。今朝見た夢を
忘れないうちに書いておくことにしよう。
私はどこか山上の寺院の空を飛んでいる。肉体はない。魂の状態で飛翔しているという浮遊感覚よりも、
夢を見ている私の視線が空から地上を見下ろしている感じである。寺院の建物や仏像に興味を持った私
は、この機会によく見ておこうと思って寺院の内部にまで飛び進んでゆく。その内に私は広い場所に出
る。大きな競技場の観客席にたくさんの中国人と日本人が分かれて座っているのが見える。中国人はどう
したことか全員が米粒のような姿をしている。不思議に思った私はよく見てその理由がわかった。中国人
は皆、白くて米粒のような形のシェラフをすっぽりと被っているのである。
その内に日本人の一団が起立して国歌、君が代を斉唱し始める。そうすると中国人たちは君が代に敬意を
表して全員が米粒のシェラフを脱ぎ身体を現す。次に中国人の国歌斉唱の番である。ところが中国人の一
団は皆、手に手を取って踊りながら『こんにちは、赤ちゃん』の大合唱を始めるので私は驚いた。
場面は変わって、空の彼方に飛行船が現れる。私はその飛行船を見てなぜか危険を感じた。案の定、飛行
船は空中で大爆発を起こして炎上し始めた。
地面には、なぜか歌手の岩崎宏美さんが倒れている。彼女の夫か恋人が私の元に駆け寄ってきて、岩崎宏
美さんは心臓の病気なので薬局にまで薬を買ってきて欲しいと頼む。私が薬局の場所を尋ねると、山々を
越えて行かなければならないとても遠い場所にある。私は空を飛んで薬を買いに行こうかとも思うのだ
が、今一薬局の場所がわからない。薬局まできちんとたどり着けるかどうか心配だ。もう一度場所を聞き
直そうかと考えているうちに目が覚めた。
夢の世界は支離滅裂である。
しかし夢の支離滅裂さが、現実世界の一貫的な論理整合性を支えているのではないかと思えることもあ
る。