生きること、書くこと 94
この頃、私は意識的に“日本製”にこだわるようにしている。スーパーに買い物に行けばわかるように
我々の身の回りは中国製商品に溢れている。
しかし、たとえば靴下や下着などの繊維製品などにしても丈夫さや耐久性という点で見れば日本製の方が
明らかに優れている。靴下や靴ほど品質の違いが歴然と実感されるものはない。2~3回洗濯しただけで
ゴムが伸びてしまう靴下や、半年持たないような靴はほとんどが中国製だ。だから私は安物買いの銭失い
にならないように、ブランドなどまったく無視して小さく印字された日本製という文字をひたすら探し求
める。
しかし売り場は絶望的なほどに中国製の山である。苦労して探しても日本製は1点あるか、ないかであ
る。ところがその数少ない日本製商品の値段は圧倒的多数の中国製に対抗するためなのかほとんど同じで
特に高くはないのである。だから日本製にはますます希少価値があると言える。使い捨ての消耗品だから
中国製で十分だという考え方もあるであろう。しかし下着や靴下だけでなくパソコンやTVなどの電気製
品、高額なものでは自動車、家にいたるまで物はすべてそれぞれのスパンにおいて消耗品である。日本の
自動車が国際的な競争力を有しているのは丈夫で故障しにくいからであるが、大体において今の時代の
“物”は靴下から家にいたるまで長持ちするものがほとんどなくなってきているのではないだろうか。身
の回りの物の質が明らかに劣化しているのである。
中国製だからモノが悪いとは一概には言えない。“ユニクロ”などは安くて品質の良い物を中国で作らせ
て成功した一例である。おそらく品質管理が徹底しているからであろうと思われる。しかし大体において
中国製の物に厳密な品質管理は期待できない。人件費などのコスト低減化だけで、物作りにこだわりや思
想性がないので雑な作りのものが非常に多い。それにタグには中国製としか明記されておらず、中国の工
場名までは書かれていないから消費者にすれば中国製は中国製でしかあり得ないのである。
今日、食の安全がさかんに叫ばれているが、中国野菜にはどんな農薬がどれほど使われているのかまった
くわからない。2回や3回食べただけでは健康被害はないであろうが、10年後の癌発現率などにおいて
どのような悪影響を被ることになるのかわかったものではない。
世界の工場か何か知らないが、日本の国連常任理事国入りに反対し、たくさんの粗悪品を作り続けて年率
10%の経済成長をしているような国と日本は経済的にも一定の距離を保つべきではないのだろうか。そ
のためには私のようにスーパーやデパートなどでひたすら“日本製”にこだわって買い物をする人間が増
えればよいのである。今こそ日本は“品質向上”と“安全性重視”を経済再生への第一方針とすべきであ
る。消費者が日本製を求めるだけで、国内産業の空洞化や雇用問題の何割かは自然と解消へと向かうので
ある。保護主義だと批判する人もいるかも知れないが保護主義で何が悪い。安物買いは銭を失うだけでは
なく、時に命までも危険に晒しているのである。あらゆる小売店舗で日本製商品の売り場を分かりやすく
表示、陳列していただきたいものだ。
私は提言する。日本はメイド・イン・ジャパン志向へと回帰すべきである。