龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

生きること、書くこと 121


話しが変わってしまうが、先に書きたいことがあるので前回の続きは後回しにする。先日、『宇宙(そ

ら)へ。』という映画を見た。NASAの記録フイルムをイギリスBBCが宇宙開発の歴史として編修し

ドキュメンタリー映画である。

実は今回書こうと思うのは映画の内容ではない。映画館についてのことである。

あまりに圧迫感を感じさせるような建築構造だったので私は変調を来たしてしまったのだ。説明すると映

画館を一つの箱として考えると前方にスクリーンがあって、通常出入り口の扉は、後方1箇所と左右のど

ちらかの計2箇所はあるものだ。3箇所以上ある劇場もある。ところが私が『宇宙(そら)へ。』を見た

映画館は収容スペースとしての箱自体に扉がなかったのである。ではどうなっていたかと言うと座席最前

列のスクリーンに向かって左側付近に、抜け道のように出入り口扉に通じる通路があるのみである。入場

時も退場時もその通路を通ってしか出入り出来ない。またその通路自体、観客席からは壁で仕切られて見

えなくなっている。よってその劇場は行き止まりの出口のない密閉空間になっている。まるで川で魚を獲

る仕掛け罠のような一方通行的空間だ。私は閉所恐怖症ではないが、閉じ込められるような建築構造に心

理的に敏感というか、過敏なのである。劇場内の歩行通路についても普通は両サイドに人間が歩けるスペ

ースが空いているものだが、その劇場は左右両端の座席が壁面にぴったりとくっ付いている。見るだけで

窮屈なことこの上ない。移動通路は座席の中央付近に一本通っているのみである。その劇場の収容人員は

180人であるが、消防法上の問題はないのであろうか。観客が退場する時の流れは左右両サイドから中

央の通路に一旦集まって合流し、順次後部からスクリーンのある前方に降りていき、それから出入り口扉

に通じる通路へと移動してゆくことになる。その方法でしか退場できないので捌けるのにものすごく時間

がかかることになる。地震や火災が発生した時には大パニックになって我先に退場しようとする人の混雑

で怪我人がでるのは目に見えているはずなのだが。

席が空いていればそれほど圧迫を感じることもなかったのであろうが、私が映画を見た日は公開初日とい

うことで1コイン(500円)のサービス価格であったため満席であった。90分ほどの上映時間であっ

たが、私は徐々に気分が落ち着かなくなってきて映画に集中出来なくなっていった。何度も深呼吸を繰り

返すが気分は回復しない。その内にトイレに行きたくなってくる。それで私は結局、退席してしまった。

トイレに行った後も席には戻らずに、スクリーン左側の袖から退出通路に少し入った位置で立ったまま見

ていた。僅か90分の時間が持たないことがショックであった。

劇場の構造が私の精神に影響した結果であるが、どちらに(建築構造か私の精神か)問題があるのかと決

め付けるのは中々難しい問題である。なぜなら私以外の180人はおそらく何とも思わずに映画を楽しん

でいたであろうし、私はパニック障害とまではいかなくとも確かに不安神経症的な傾向があるからであ

る。私の場合は狭い空間に閉じ込められる不安、緊張が、恥ずかしい話しではあるが尿意や下痢と結びつ

いてしまうのである。

たとえば私は観覧車が怖くて乗れない。実際にはこれまでに何度も乗っているので乗れなくはないが、心

理的な抵抗が大きいのである。何が怖いかと言うと、乗っている最中に地震が発生して止まってしまって

復旧するまでゴンドラの中で閉じ込められる状況を想像することである。あの狭い空間内で何時間もトイ

レにも行けず、じっと待ち続けなければならない不測の事態を考えると、外の景色を楽しむ心の余裕は私

にはない。どうぞ笑いたければ笑っていただいて結構だが、要するに私は極度の心配性なのである。知的

な分析判断が先走って最悪の状況を想定してしまい、それに肉体が反応する。

しかしここで私の症状を二つの要因に分けて考えなければならないと思う。先ず第一に不安や緊張が肉体

的に尿意や下痢につながることは自律神経失調の症例であって病理であることは間違いない。しかし私の

場合は軽度であるのでほとんど気にしていない。大体において女は便秘が多く、男は下痢が多い。男の下

痢や多尿はストレスや不安などの心理的な要因が関わっているケースが多い。安部元総理が辞任する前に

下痢で衰弱していたということも人事とは思えず同情してしまう。私はサラリーマンではないから物理

的、肉体的に拘束される機会がほとんどないので、いつでも行きたい時にトイレに行ける。よってそれほ

ど日常に不便はない。映画を見ている途中でトイレに行きたくなれば我慢しないで行けば良いだけのこと

である。乗りたくもない観覧車に無理して乗ることもない。しかし自律神経がうまく働いていないのはや

はり無視できないことである。これを解決する方法を私は知っているので人事のようにご紹介しよう。簡

単なことではあるが簡単すぎて怠けてしまうと、私のように情けないことになってしまう。

先ず第一に酒などの刺激物を控えるということである。第二に運動することだ。暑いからといってクーラ

ーが効いた部屋で、冷たいビールばかり飲んでいると自律神経の働きが狂ってしまう。習慣的に運動を

し、汗をかくことによって肉体は活性化され、自律神経の働きが整うのである。第三にこれは一般的では

ないかも知れないが、毎日10分ほどでもよいから瞑想することである。瞑想を習慣化することで直感や

洞察が研ぎ澄まされてゆく。瞑想をした後では目が澄み、皮膚の調子も良くなる。わかってはいるのだが

継続させることはとても難しい。私にとって一番難しいのが酒を控えることだ。今もビールを飲みながら

書いている。しかし運動は最近、水泳を始めるようになった。近くのプールに仕事後や週末に通ってい

る。また瞑想も毎日するようにしている。いつまで続くかわからないが、ここにこうして書いたことでも

あるし何とか継続して続けたい。水泳などのスポーツをする時間や機会がないという人には、簡単な強健

体操がある。一般的にはほとんど知られていないが、大正時代に肥田春充という武術家がいた。この人が

創案した『肥田式強健術』という簡易体操があるのだが、腰と腹の間にある体の物理的中心の丹田(正中

心)を体得して精神と肉体の合一をはかり、より完全な人間形成を目指すという方法である。

肥田春充は天才である。日本にも100年ほど前には凄い人間が当たり前のように存在したことは驚くば

かりであるが、肥田式強健術は今の時代でも誰でも出来る15分ほどの簡単な体操である。宣伝するつも

りは毛頭ないが、興味のある人は是非試して見ていただきたい。私のように下が緩くなってきている中年

男が言ったところであまり説得力はないとは思うが。

不安が身体に与える悪影響については、生活習慣を見直したり運動をして自律神経を鍛えることによって

自分で克服することは十分可能であると思われる。最終的には運動や節制を継続させる意志力があるかど

うかの問題になると思う。私個人について言えば毎日1箱吸っていたタバコも20歳代後半に一日で止め

ることが出来たので自信はなくもない。最近離婚したことでもあり、今後だらしない生活に陥らないよう

に、自分の肉体と精神を(そして下の締まりも)今一度強化させたいと考えている次第だ。