龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

新聞社の思考、文章能力について

産経新聞も結構、痛い新聞社だな。一体、何を考えて記事を作っているのだろうか。曰く、“ハエを含む昆虫は世界的には食料とされる。国連食糧農業機関(FAO)も5月、人口増加に伴う食糧問題に対処するため、「昆虫食」を推奨。”
学校の給食パンにコバエの付着が見つかって、学校側が子供にハエを取り除いて食べるように指導したことが問題となっていることを報ずる記事であるが、ハエなどの異物が混入している食べ物を、異物を取り除きさえすれば安全性に問題がなく、また廃棄するのがもったいないからとの理由で子供たちに食べさせることの正当性と、世界的な食糧難から昆虫食が推奨されている声があるという事実は、関連性がまったくないとは言わないが、基本的には全然、別の問題である。一つの事件、問題に対して公正、客観的な立場から、対置されるべき双方の意見を紹介するという形式を一応は踏んでいるつもりなのであろうが、まともな人間なら誰が読んでも、単純に比較、勘案し得るような、釣り合いの取れた文章構成になっていない。敢えて、その記事を書いた人の気持ちを斟酌して言えば、今や、昆虫を食べろという声もあるぐらいの食糧難の時代なのだから、ハエを取り除いてパンを食べるぐらいのことは子供たちに我慢させるべきだという意見も尊重すべきだ、ということを言わんがための文章構成なのだろうか。人それぞれに受け取り方は異なるであろうが、私は、その記事内容からは、朝日新聞的ないかにも捻くれた社会道徳のバランス感覚しか見て取れないものである。個人的には、給食パンにコバエが付着していたぐらいであれば、取り除いて食べろという事は決して反対ではない。親とすれば自分の子供にそのように言うであろうし、仮に私が教師の立場であったとしても生徒にそう指導するかも知れない。しかしこの問題の本質は、誰が考えても、子供たちに食べさせる給食の衛生管理が徹底されていないことであって、それが微小なコバエではなく、子供たちの生命に関わる食中毒にも成り代わる可能性が大であるということではないのか。そういう認識が少しでもあれば、このような内容の記事になるはずがない。いかにも内容が不適切なのである。“昆虫も食材”などと、昆虫料理研究家や「食の安全・安心財団」理事長の意見を紹介するようなことは、言ってみれば、痴漢事件に際して女性が見知らぬ人にいきなり身体を触られることの精神的な刺激と美容上の効能を訴えているようなものである。痴漢されても命に別状はないのだから。そもそも、昆虫が食材だと主張している人であっても、自分自身がどこかの外食先で出された料理やスーパーなどで買った食材などに昆虫が混じっている目に会った時に、同じような理由で店にクレームを入れることもなく、その昆虫を取り除いて食べたり、あるいは昆虫そのものを食べたりするのであろうか。仮にそれが本当に食べられる昆虫であったとしても、それはそれとして衛生管理がなされていないことを大いに問題視するのではないのか。それを子供たちの学校給食については、わざわざ世界的な食糧難の社会問題を持ち出してきて、不衛生を我慢せよと言わんばかりの論調は偽善以外の何物でもない。そういうところにこそ、児童虐待につながる屁理屈の芽が潜んでいるとも言えよう。ともかくはっきり言って、昆虫を食材と考えるかどうか依然の問題として、最近の新聞社や新聞記者の知力や品性は、一般的に見てもかなり低下しているように危惧されるものである。誘導や屁理屈ばかりで中身がないのだ。その程度のものに対して、自画自賛のように公共性と民主社会の基盤だから軽減税率を適用せよなどと声高に大合唱されても、国民感情とすれば大変に困るというものである。