龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

バーゲンの本質

バーゲンの本質は、群集心理にある。優勝セールだとか言われると、大衆は何となく行ってみようかという気になる。そこで人だかりの熱気の渦に包まれて、押し合いへし合いしている内に、頭も激しく揺さぶられるからだろうが、冷静で正常な判断感覚がなくなってきて、普段なら絶対に買わないような服やらバックなどを買ってしまうものである。バーゲンとは、そういう群集心理を巧みに利用した商売のやり方なのである。ところがインターネットのバーゲンは、一人で静かにパソコンの前に座っているだけであるから、おばはん(失礼、ご婦人)同士で、一着の服を引っ張り合うような百貨店内の修羅場(今時、そういう光景があるのかどうか知らないが)の空間とは、まったく異質である。群集心理が働きようがないから、買ったり、選んだりする顧客は、至って冷静である。楽天が優勝バーゲンで、星野監督の背番号の77パーセント引きだなどと大きく宣伝しても、顧客は簡単に他サイトと比較してその値引きが真実であるかどうかを見極めることが可能なのである。ネットで二重価格の設定をしてもすぐにばれることぐらいわかりそうなものであるが、楽天のモールに出店している業者は、楽天から要請されたゆえに仕方なくそうしたのか、業者が自主的にそうしたのかはわからないが、常識的に考えればネットモールの販売で77%の値引きなど絶対に成り立たないものである。業者は楽天に月々の出店料金を支払って、一つの販売についてもマージンを支払わなければならないのだから、オークション以外は基本的には定価販売を崩せないものであると考えられる。定価販売をしていても、利益を出せている業者はごく一部なのではなかろうか。それを77%引きなどとは無茶苦茶な話しで、本来であれば楽天の感謝セールなのだから、その値引き分は楽天が負担しなければならないはずであるが、それを業者の負担にしていたのであれば、今回のような二重価格の問題は起こって当然であると言えるし、インターネットゆえに直ちに発覚するのもまた必然である。楽天は、今回の問題に対して、訪問調査した上で不正な価格設定をしていた業者とは契約を解除するなどと言っているが、77%という破格の値引きを設定したのは業者ではなく楽天なのだから、普通に考えれば二重価格の設定も楽天側は当初から容認と言うか、想定していたのではないのか。そうでなければ業者に対して、いくらなんでも原価を下回るような価格での販売をお願いできるものではないと私は思うのだが。楽天が巨人に勝って、日本一になったのはよいが、今回のバーゲンの不正で楽天という企業体質の、延いてはネット販売のある種のいかがわしさが露見したようにも感じられる。しかし私がよく利用しているアマゾンではそういうインチキが行われそうな気配はまったく感じられないものである。最近のホテルや百貨店のメニューの偽装表記などの事件を見てもそうだが、日本の企業は日本人相手には平気で嘘をつくところがある。そういう意味では、意外とアマゾンのようなアメリカの企業の方が日本よりも商行為に対する倫理観が高いのではないかと、私はそのように考え始めてきているのである。個人的なことを言えば、最近に私は日本の生命保険会社を解約して、アフラック医療保険に加入したが、外資系の企業は極端に金儲け主義で信用できないという先入観は間違っているように思えてきたのだ。日本は商品の品質や技術力は非常に高いのであるが、適当に顧客をごまかしたり、嘘も商売の内というような商売慣習としての悪弊が根強く存在するように感じられるものである。マスコミ報道の在り方もそのような日本的な悪弊と通底するところがあるのではないのか。大衆は管理者層に本音の所では、馬鹿にされ、操作される対象でしかあり得ないということである。政治や司法、報道などにもそのような気配がいまだに色濃く残存しているように私には感じられる。だからこそ日本には本当の民主主義が育ってゆかないのだ。話しが少し飛躍してしまったが、楽天もそういう商売をしているようでは、球団経営の先もあまり長くないように感じられる。何も優勝したからと言って、無理をしてまでバーゲンすることはないのである。そういう真似ごと自体が、恥ずかしい行為である。日本の企業はもっと品性の高さを目指すべきである。