龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

秋の日の祈り


秋晴れの空、天高く

花壇の縁に座り文庫本を読む

心浮き立つ行進曲が私の目を

小さな平面の文字世界から

色、舞い踊る地上空間へと誘う

ゴール付近で赤い旗が風に揺らいでいる

園児たちの

白の体操服と紺の帽子が並び

銀のピストルが撃ち鳴らされた瞬間

土埃が金に光り輝く

ちびっこたちが大地を駆ける

黄、紫、橙、緑のバトンが

小魚のように飛びはねて

懸命に泳いでいるかのように

小さな手で次々と渡されてゆく

なんという無垢な、愛すべき生き物たちよ

大人たちも走る

コーナーで決まったように滑ってころぶ、

一回転して、また走り始める者もいる

その度に大きな歓声と笑い声が上がる

私は必死になって走る大人たちの顔を見ながら

ああ、これは借金取りから逃げているときの

人間の顔だと思うと

おかしくて、おかしくて

涙が出てくる


神よ

あなたにも見えているのか

この、色とりどりの御伽噺のような美しい世界が

みんな生きている

それぞれの姿と、それぞれのやり方で

降り注ぎ、示し給え

恵みの力と愛の奇跡を

そして、生くべきものたちを生かし給え

柔らかな秋の光に溶けゆく無数の色色

静かな祈り

さあ、愉快な一日は終わった

私は息子の元に行って頭をなでながらこう言う

よく頑張ったな、またね

そして別れる