龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

生きること、書くこと 37


『純白の世界』

君たちがそう言うのなら、きっとそうなのだろう

いずれにせよ、私には何もわからないのだから

君たちがそう言う時に

しんしんと雪が降る

そして世界の風景を真っ白に変えてゆく

私は舞い散る雪のあまりの美しさと白さに恐れおののき

ただ独り凍える

私だけが白くないから

私だけが美しくないから

そして私のこころは重く、重く

人間の底に沈んでゆく


けれども私は知っている

この純白の世界の美しさは

その奥に変化を孕んでいることを

やがて水ぬるむ春になれば新しい生命が

緑色に燃え立つであろう

桃色の花吹雪の下で人々は酔い痴れるであろう

そして灼熱の太陽が罪にまみれた魂をも焼き尽くす

火のような季節を迎えるのだ


移りゆき、廻りゆくという確かさの中で

我々は生きている

白くなくとも、美しくなくとも

私はその確かさの一部であるのだ

ならば一緒に行進しようではないか

両手、両脚を揃えて

1、2、3,4のリズムで溌剌と

確かさへと向かって軍隊のように

我々はみな、敵のいない軍隊だ


隊列から離れていても、テンポがずれていてもかまわない

唯一の規律は移りゆく確かさなのだから

1、2、3、4と声を上げて、さあ行こう

ほら、見えるか

死者たちも我々と一緒に行進しているのが

再生という確かさに向かって

死者もまた生きているのだ

この純白の世界の中で