龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

緑亀、太陽に死す


『緑亀、太陽に死す』

緑亀が死んだ。

強烈な日差しのもと

水槽に張られた

水の温度が上がり過ぎ、

ゆでられ、呼吸不全に陥って

お前は死んだ。

五右衛門のような地獄の苦しみが

あったのだろうか

あぁ、緑亀

罪なき生き物

その無垢なる文様と祈りなき輝き


私がサボテンに水遣りをするために

ベランダに上がっていくと

天気の良い日には

いつも浮島の上で

日向ぼっこをしていたお前

そして私の影に覆われると

ちゃぽんと水に飛び込んで

勢い込んで底まで潜って行ったお前


日光が大好きなお前は

動くサボテンのように愛らしかったのに

まさか湯に茹でられて

死んでしまうなんて


私が殺したようなものだ。

かわいそうなことをしたと思う。

でも正直に告白すると

それほど罪の意識があるわけではない。

小さな、小さな命の喪失感がほんの少しあるだけ。

さわやかな5月のある日

一匹の名もなき緑亀が死んだ。

私は生きて退屈な詩を書いている。