私は薔薇のように知っている
私は知っている。
あなたは私が知っていることを
知っている。
私はあなたが
私が知っていることを
知っていることを
知っている。
あなたは私が
あなたが私が知っていることを
知っていることまでは
知らない。
私はそれを知っている。
ところが
私は何も知らない。
元々何も無いものを
どうして知り得ようか。
私はそれを知っている。
窓の外に
オレンジ色のつる薔薇が
白壁を伝っているのが見える。
澄みやかな天空からそっと
投げ落とされた
柔らかな炎のように咲いている。
もうすでに
初夏だな。