龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

融合

突然、世界は白くかき曇り
紙吹雪かと思えば、本物の雪だ。
窓の外に、雪が舞っている。
大阪で見る雪は、珍しいから
私はホット・カルピスを飲みながら
窓から、じっと雪を見つめる。
とその瞬間、啓示のように何気ない風景が際立つ。
窓の向こうは、次元の異なる別世界だ。
透明なガラスを隔てて、
世界は二つに切り分けられている。
雪降る凍える世界と暖かい室内とに。
窓の内側は、紛うことなき実存の世界だ。
窓の外側は、そうであったかも知れない
形而上的な可能性の世界で
私を中心として、私から逃げるように拡がってゆく。
可能性の世界にはもう一人の私が存在する。
雪の中でコートも付けず
薄着姿で凍えながら、虚ろな眼差しで
あてど無く、とぼとぼと歩き続けている私だ。
もう一人の私には、たくさんの仲間がいる。
室内の私とは反対に、窓の外部世界を実存とし、室内の私を
可能性世界の空想となす住人たちだ。
それら住人の中には、
虐待されて今にも死にそうになっている、小さな子供たちがいる。
救えるのに、救われることのない幾つもの命がある。
私と彼らを隔てているのは、
この透明な1枚の窓ガラスだ。
透明な窓ガラスという壁を軸に、世界が反転しているのだ。
だから私は、革命を起こすように
認識の扉を押し拡げるように
思い切って、窓を全開にする。
雪と冷気が部屋に侵入してきて
たちまち私の身体は冷たくなるが
並行する可能性と実存の別世界は溶け合い
もう一人の私ともう一つの人生を抱きしめるように
心の奥が、春の気配のように暖かくなってゆくのだ。