龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ジュセリーノの予言について


ここまで『生きること、書くこと』というタイトルのもと、一連の流れで書き進めてきたが気になること

が出てきたので一旦中断する。何が気になるのかというと、ジュセリーノというブラジル人の予言につい

てである。9月25日の日本テレビ特番で『FBI超能力捜査官』の放映をたまたま目にし、初めてその

名前を知った。後で調べてみてわかったことだが、昨年末に恒例の『タケシ超常現象バトル』にて取り上

げられ既に日本では結構、有名なようである。就寝中に夢で映像として見た光景、聞えてくるメッセージ

をメモに書き留めるという方法で9・11テロ事件や阪神・淡路大震災など世界中の事件、天災を時には

期日、場所まで特定して予言し、それらを各国の大使館や本人などに文書で警告し続けてきたという。た

ま出版『未来からの警告』(マリオ・エンジオ著、山川栄一訳、韮澤潤一郎監修)によれば、2007年

1月現在でそのような予知文書が88,430通にも上るらしい。近未来の予知はいろいろあるのだが、

2009年1月25日にマグニチュード8・2の地震が大阪で発生し、死者は50万人に達するという。

50万人、死ぬのであれば大阪の中ほどに住んでいる私がその時に死ぬ可能性は極めて高いということに

なる。だとすれば私の寿命は残り1年ほどということか・・・南無三。いや、それ以前にも今月末か来月上

旬に大阪に大きな地震が来るとの予知がある。また、来月11月25日に千葉県、船橋マグニチュード

7・3の地震が起き125人ほどの死者が出るとも伝えられている。・・・何と言うべきか、如何なるもの

であろうか。それでインターネットで最近いろいろ調べてみたのであるが、反オカルトの立場からジュセ

リーノの予言を徹底的に批判している(かまた)という人のライブドア、ブログを発見した。レベルの高

い内容である。それで今、かまたさんがジュセリーノについて批評している今年1月からのものを最初か

ら通して一生懸命読んでいるところである。しかし世の中には凄い人間がいるものである。書くは、書く

は、ここまで書きますかというほどの書きっぷりである。これでは8万通もの文書を記録したというジュ

セリーノも真っ青になるのではなかろうか。喩えは悪いが、反オカルトも究極にはカルト的な要素が内在

しているのではないかと思わせるほどの執念というかアブセッション(憑依)すら感じる。

私のジュセリーノ予言についての感想を述べたい。先ず、初めに予知、予言というものに対する考えを明

確にしなければならない。私は人間の潜在的な能力として予知というものは存在すると考える。よって世

の中には予知に傑出した才能を有する人物がいたとしてもそれほど驚くべきことではないと思う。特定の

預言者をインチキだと否定するのと予知能力そのものを否定するのは意味合いが異なる。それで今回のよ

うな深刻な社会不安を引き起こす予言に問題を認めるとすれば、その責任の根本的な所在は預言者(ジュ

セリーノ)や予知能力にあるのではなく、それを利用しようとする取り巻きにこそあるのではないのか。

はっきり言えば放送局や出版社である。個人が自らの信念と良心のもとで、どのような不確かな警告を社

会に発しようとその人の勝手である。しかし端から出鱈目な情報で人心を惑わし、金儲けを企てているの

であれば犯罪行為として取り締まられなければならない。予言というものは善と悪が薄い皮の表と裏で透

かされて混じり合っている。だからメディアはそれらの情報を扱うに際して極めて慎重でなければならな

いはずだ。メディアが相応の倫理観を有しているかどうかが問題なのである。メディアは編集することが

できる。編集という作業によって元情報は加工され、よりセンセーショナルに仕立て上げられてゆく。そ

のプロセスにこそ社会悪が存在するのだと思う。たとえば、『オーラの泉』という番組がある。私は数回

しか見たことがないので今でも続いているのかどうかさえ知らない。興味がないからだ。私の印象では、

江原という人物は霊能力を持っているのだと思う。人格的にも立派な人だと思う。でも見る気にならな

い。なぜかと言うと番組の、あるいは番組スタッフの思考というか計算が見えてくるような気がして不愉

快になるのである。もちろん私の偏見に過ぎないと誰かに指摘されれば否定することも出来ないのだけれ

ど。具体的には私はこういうことを想像する。番組の収録に際して江原氏の元には事前に、次のゲストは

こういう方ですよと情報が流されるであろう。また、そのゲストがどのような話題には触れてもらいたく

ないかというようなことは事務所を通して確認がなされるであろう。番組の性質上、プライバシーの核心

に迫らざるを得ないので当然のことである。なぜならゲストに恥を欠かせたり、怒らせたりすることは避

けなければならないからだ。ならば「今回のゲストの前世はこういう話しでいきましょう」、とか「収録

中のスタジオに亡くなっているゲストのお母さんが来ていることにしましょう、これはゲストには言わな

いでおきますから。」というような打ち合わせがあっても不思議ではないではないか。いや、そのような

脚本があると考える方が自然だといえる。TVの本質とはそういうものだからだ。私のように心霊能力が

ない人間には言う資格はないのかも知れないが、霊能力を発揮して誰かの前世を見通すということはそれ

なりにエネルギーを消耗する行為だと思う。江原氏とて体調や調子が良くないときなど、霊視がうまくゆ

かない時があって当たり前のはずである。いつも、にこにことした顔でゲストが涙を流さんばかりに感動

させるようなアドバイスをするという光景は、はっきり言って私には作り物としか思えない。それで話し

を戻して『FBI超能力捜査官』の番組におけるジュセリーノの予知で、長崎市長射殺事件の伊藤一長

あるいは英国人英会話講師殺害事件、容疑者の市橋達也という名前が何年も前の予知文書に書かれていた

という部分について現在のところ私は信用していない。もし、この日本人個人名の表記に嘘があるとすれ

ばそれは明らかにジュセリーノの嘘ではなく、番組制作に携わった日本人スタッフによるインチキだとい

うことになる。何十万人もの死を予言している人間の信憑性に関する社会的に極めて重要な問題である。

日本テレビは、早急かつ誠実にジュセリーノという人物の予言について、あるいは『FBI超能力捜査

官』番組制作に際して一片の嘘や誇張もなかったのか徹底的に調査して公表していただきたい。あなたが

たが90%の的中率として実例を挙げ紹介した人物が、50万人もの人間の死を一年後に予言しているの

である。当然の社会的責務ではないか。たま出版にはあえて何も期待しないことにする。



「誰かの金儲けのために死について考え続けなければならないのであれば、とっとと死んでしまうほうが

よほど幸せである。」