龍のひげ’s blog

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ボクシング世界戦の判定について

ボクシングファンの一人として言わせていただければ、村田諒太のミドル級世界戦の採点は確かにおかしい。国内の試合で何でこんなひどい採点結果が出たのかと言えば、私の見方で言えば、これが軽量級であればこういうことにはなり得ないのである。ミドル級は、ボクシングの世界ではヘビー級と双璧をなすほどに、注目度が高くて巨額のマネーを生みだす特別の階級なんだな。過去には、シュガー・レイ・レナードとかトーマス・ハーンズ、マービン・ハグラーなどのボクシング界に伝説として燦然と輝くような超一流選手が王者として君臨した階級である。しかしこの3選手は今、思い返してみても本当に強かったな。トーマス・(ヒットマン)・ハーンズの長身から繰り出されるパンチなどは、速射砲とも呼ばれたが、本当にスピードが全然違うのである。そのKOシーンは、TV画面を通して見ていても、これほど「戦慄」という言葉が相応しいものはないと思えるほどに衝撃的であった。しかしその人間離れしたようなトーマス・ハーンズと互角以上に戦うレナードとかハグラーが同じ階級にいるという事実が、当時の私には信じられないような思いであった。その夢のクラスにオリンピック金メダリストである村田選手が挑戦して、誰が見ても明らかに村田が勝っていたと思われるが、はっきりとは断言できないもののそこには、日本人の村田よりもフランス人のエンダムの方が、華のある階級のミドル級王者として望ましいというか、今後の興行面でも有利であるという思惑がなかったとは言い切れないと思われる。これが中級や軽量級であれば、日本人がチャンピオンになってくれた方が、防衛戦のカードも経済力のある日本で組んでTV放送するのが金になりやすいので、有り難いということになりやすい。だからという訳でもないが、これまで今回の村田選手の場合とは反対に、日本人選手が不可解な判定で王者になったり防衛したりというケースの方が圧倒的に多かったものである。そういう時にはTVの解説者などももごもごと口を濁すような言い方しかしない光景がいつものことで、確かに日本人選手が勝利したのだから敢えてその結果にケチをつけるようなことを言えないのは当然のことかも知れないが、私のように純粋にボクシングというスポーツを愛している人間からすれば、釈然としないしはっきり言って不愉快なのである。今回の村田選手の採点結果が不可解であることにこだわるのであれば、私は日本人選手が不可解な判定で勝利した時にも、言い難いことであることはわかるが、きちんと異議を唱えて欲しいと思う。それが観戦する側のフェアなスタンスなのではなかろうか。単純に数で見れば、これまで日本選手が外国人選手に対して明らかに負けているのに、よくわからない変な判定で勝利になってきた方が圧倒的に多かったのだから、村田選手の敗北は、その罪滅ぼしと考えられないこともないということだ。しかし今回のジャッジではボクシングの本場であるアメリカの審判は村田の勝利にしていて、それ以外のカナダとパナマの審判員が奇妙な判定をしたものであるが、何となく政治的にはよくわかる構図であるようにも感じられる。スポーツの世界でも、その分野の先進国の方がクリーンというか公正中立な判定ができるものだが、経済力や国力が劣っている国の審判員は八百長とまではいかなくともどうしても評価にバイアスがかかってしまいがちなんだと思われる。フライ級やバンタム級であれば日本人チャンピオンが相応しいが、ミドル級の場合は日本人よりもフランス人の方が望ましいとかね。過去には竹原慎二さんが、アルゼンチンのホルヘ・カストロを判定で破ってWBAミドル級王者になっているが、アルゼンチンというのもまた微妙だな。ひねくれた見方のように感じられるかもしれないが、長年、ボクシングを見てきた上で、ボクシングという興行はそういう性質のものだと私は思っている。だから正直に言ってここ数年は関心を失いつつあったが、井上尚弥とか山中慎介は、日本人王者には珍しく本当に強いからな。そういう本物の実力者の試合は、やはり見なければならないと思うし、この二人には是非、戦ってほしいね。村田選手にもミドル級王者としての実力があることは証明されたのだから、近いうちにもう一度チャレンジして、私のような昔からのボクシングファンに夢を見させて欲しいものだ。