龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

全てがまやかし

昨日はちょっと酔っていたので、腹立ち紛れに「キャバ嬢になりたい」などとマスコミ批判を絡めて述べたが、本当はそういうことを言うつもりではなかったのだ。私がその新聞記事から気になったことは、法律的に5億円もの金を不正に使い込まれた会社(工業用ゴム製造販売会社「シバタ」)は、そのキャバ嬢に対して5億円の返還を請求することができるか、ということだ。一般的に考えれば、会社は不正着服した経理の男に返済を求めることはできても、男が貢いだ先のキャバ嬢は善意の第三者に相当するために返還請求できないということになるであろう。しかし、善意の第三者といってもキャバ嬢は真っ当な経済取引をしたわけではない。盗品の宝石を、盗品とは知らずに買ってしまった、というケースとは訳が違うのだ。単に客の男に貢がせていただけのことである。それも常識的に考えれば、30歳ぐらいの一介の会社員が5億円もの金を持っているわけがない。不正行為によって会社の金を騙し取っているであろうことは、わかりそうなものである。もちろんキャバ嬢が知っていたことが客観的に証明されれば、共犯として警察に捕まる可能性があるので、キャバ嬢的には絶対に知らなかったと言い張るしかないことは当然である。しかし、このようなケースで本当に“善意の第三者”が通用するのであろうか。“行列が出来る法律相談所”ではないが、弁護士でも見解が分かれるところであろう。私は恐らくは、通用しないと思うのだ。キャバ嬢が客に5億円も貢がせて、私は善意の第三者だから犯罪とは何の関係ありません、よって貰ったお金も返しません、では世の中がおかしくなるというものだ。但し、もちろん裁判に拠らなければならない。道義的にはキャバ嬢が自ら進んで、その会社に返しても良さそうなものだが、そんな道義心を持ち合わせているならそもそも5億円もの金を受け取ることは有り得ない。ということで、当然そのシバタという会社もキャバ嬢から金を取り返すことを弁護士に相談していたこととは思うが、どうであろうか、おそらくどのような弁護士も色好い返事はしないであろうと思われる。先ず、刑事事件でないからキャバ嬢の身柄を拘束することができない。キャバ嬢の手元にいくらの金が残っているかは知らないが、数億円もの金があればどこへでも高飛び出来るし、その金で一生遊んで暮らせるであろう。また仮に居場所が特定できて裁判になったとしても、キャバ嬢は金を取り返されることを防ぐために親族などの身内に分散して預け、隠してしまうことだってあるだろう。裁判そのものの世間体もあまり格好のいいものではない。そういうことを考えると弁護士は、仮にキャバ嬢に善意の第三者が成り立たないとしても現実的には金を取り戻すのはかなり難しいですよ、などと回答して受任しないケースがほとんどではないかと私は想像する。さあ、いかがであろうか。所詮、他人事なので別に私には、どうでもいいことではある。しかしあの“行列が出来る法律相談所”という番組(今でも放映してるのかどうか知らないが)について言えば、テレビだからそういうものだと言われればそれまでだが、法律的に考えればどうだということと、現実に弁護士がそのようなケースで代理人として受任してくれるかどうかということはかなりの隔たりがあるものである。キャバ嬢から貢いだ金を取り返せるかと番組でやって、自信満々に取り返せると主張するような弁護士でも実際にそのような依頼がくると大抵は断ったりするものである。私は離婚の時に弁護士探しで散々、苦労したからそういうことがよくわかるのだ。テレビを見ていると馬鹿になるということはそういうことである。テレビは平気で嘘をつく媒体で、基本的には企業の売上げを促進するためのツールに過ぎないから番組の内容と我々の日常生活の現実にはかなりのずれがある。バラエティ番組における嘘であるならまだしも、ニュース報道における政治のごまかしも私にはバラエティ番組と大差ないように思えてならない。全てがまやかしなのだ。ということで、やはり気がつけばまたマスコミ批判に終わってしまった。私のマスコミ不信は相当に根深いようである。