龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

自民党の虚飾政治

年明けから1週間ほどの間で、中国経済の先行き不安から世界的に株価は下落し、為替においてはドルが売られて円に避難する動きで昨年末の1ドル120円から一時は2円以上の円高水準となった。この経済的な情勢は、昨年末に日韓外相会談で合意された慰安婦問題と無関係ではないであろう。おそらくは韓国は2016年度の世界経済の不安定化を中国との緊密な政治的連帯を通じて、はっきりと予測していたのであろう。中国経済の急速な収縮は、世界経済に大きな悪影響を及ぼすが、その中でも政治、経済において最も中国と関係の深い韓国への打撃は計り知れない。そのような見通しの中から韓国の財界は、韓国通貨であるウオンを安定させるために通貨スワップの再開を政治に強く要望し、韓国の政治は事態の打開を図るために、昨年内に日本との間で慰安婦問題をひとまずは決着させて、日本から経済的な援助を引き出す外交環境を構築する必要性に迫られたのであろう。恐らくは当初、韓国はアメリカにドルとウオンの通貨スワップを持ちかけたのではないかと思われる。その申し入れをアメリカは拒否し、仲裁役として日本と韓国の懸案事項として認識されている慰安婦問題を決着させる流れの中で、安倍総理には歴史的な外交成果としての花を持たせると同時に、日韓通貨スワップを押し付ける段取りの絵を裏から描いていたのではなかろうかと私は見ている。安倍総理にしても、今年度においては参議院選挙も控えていることから自民党の支持率を高める仕掛けが必要であったのであろう。ところが万事、都合よく政治の思惑通りには運ばないところもあって、韓国のマスコミはともかく一般の国民や慰安婦は激しく今回の合意に反発した。長年の間、韓国政府は慰安婦問題を、世論を統制させ国内政治を結束させるための道具として利用し続けてきたのだから、急に手のひらを返したような合意を日本と交わす姿勢に批判が集まることは必然であると言える。また日本の国民においても韓国政府に対する根強い不信感とともに、自民党への安易と見れる10億円もの「バラ撒き政治」に心理的な抵抗感が大きくあって、必ずしも支持率上昇に結ぶついてはいない状況にある。そのようにスムーズに事が運ばない状況を見て取った安倍政権は、急遽10億円の拠出は日本大使館前に設置されている慰安婦像が撤去されてからであると態度を硬化させ、日本の国民の批判を懐柔しようとしているように考えられる。そのような状況の中で日韓スワップの再開についても現時点においては棚上げになされている可能性はあるが、決して油断はならない。なぜなら棚上げといっても先送りという意味で、適切なタイミングが計られているのではないかとも考えられるからだ。先にも述べた通り今夏には参議院選挙も行われることから、仮に水面下で日韓スワップ再開の取り決めがあったとしても、政権側が今はタイミングが悪いと忌避するのも当然であるからだ。
ともかくも政治の裏側の事情については、我々一般の国民には正確には予測し得ないことではあるが、一旦公表されてからでは遅いのである。前にも述べたことではあるが、自民党はマスコミと結託して、国民の目に見えないように情報統制した上で、このような重要政策を推進させたり決定することが得意技ともいうべき政治手法であるからだ。よって我々国民は、政治の決定事項を批評するのではなく、政治の潜在的な可能性について、つまり蓋然性の高い水面下の流れを忖度しながら批評することによって、政治参加を果たさなければならない。決定、公表されたことに対してあれこれ批判するだけでは本当の民主政治であるとは言えない。自民党政治とは我々の見えないところで、税金を好き放題に使って、巧みにそのツケを庶民に押し付けようとするところの大掛かりな虚飾である。