龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

魔性の為替相場

今、1ドル109円辺りでドル円相場は上げ止まって、もみ合っている状態になっている。前回、私が述べた推理が正しいのであれば、恐らくは正しいと思うのだが、この今の109円という水準が、本来のドル円の適正な価格なのであろう。102~103円であるとか、すわ90円台に突破かという円高傾向はアメリカ政府のドル安を望む政策というか要請によって、政治的に維持されていたのであろうと私は考える。それが民主党から共和党への政権交代が大統領選挙で決定したことによって、一時的に権力の空白期間が生じたのだ。その結果、これまでの為替相場のひずみが、大量の円売りドル買い注文の発生によって一気に清算、是正されることになり、上げ止まったこの109円前後の価格が、修正された新たなスタート地点であることを暗に示しているのだ。現時点のチャートでは、ここから上げればよいのか、下げればよいのかわからないで迷っているように見える。正しいスタートラインに立ったものの、表示がないのでどっちに向かって走ればよいのかわからないランナーのようなものであるが、方向感(材料)が出てくればそちら向きに大きく動き出していくのであろう。よって今後の円高、円安予測は、適正な相場水準に引き戻されたというニュートラル性から考えれば5分5分ということであろうと思う。なぜ私がこれほど大統領選挙前後のドル円相場にこだわっているかについて説明しておこう。私のFX歴は昨年の11月からであるから、ちょうど1年である。最初の内は為替のことが何もわからないままに少量のポジションを、それもびびりながら売買していたのであるが、損切りと損を取り戻すための新規取引で取引回数が徐々に多くなっていって、1日の大半の時間がFXに占められることとなったのである。それでこの調子では、とてもではないが仕事にならないし、大した金額ではないが損失額も増えてきたので、一体何をしているのかわからなくなってきて、短期足の取引と損切りを一切やめてしまったのである。長期の保有だと米ドルや豪ドルの場合、ロング(買い)ではスワップ金利収入があるが、ショート(売り)では反対に支出になってしまうというだけの理由で、私は米ドルと豪ドルの買いを選択した。しかし今から考えればそれも私の安易な判断で、言うまでもないことだが今年の1年は一貫して右肩下がりのドル安相場だったのである。長期足の取引では頻繁に買っていると含み損が大きくなって証拠金維持率が一定の数値を下回るとロスカット、強制決済されてしまうので、ポジションを保有するであろう最長の期間と最大の保有数量を思い描いて、全体を俯瞰するような自分の取引スタイルを確立させなければならない。初心者のわたしにとってはそれも難しいことではあったが、スキャルピングで10銭、20銭程度の利幅で利確させたり損切りする手法よりも、私の適性的には、そして本業の仕事との兼ね合いにおいても向いていると思われた。そうは言っても、言うは易し、行うは難しでそんなに簡単に思った通りにはいかないものである。思った通りに行かないどころか、相場とは魔物である。私はドルと豪ドルの価格が下がるごとに機会を見て、最少取引単位の1000通貨づつ買い増して、保有の平均単価を引き下げていったが、それでも私の思惑をあざ笑うかのように悪魔的に下げ続け、含み損は膨らみ続けることとなった。それでも私は自分が一旦、決めたルールなので自分のスタイルを検証、確立するためには、自爆覚悟で利確するまで損切りしないことを貫徹させる必要があると考えたのであった。その経過においていろいろとあったが、6月におけるイギリスEU離脱決定のブレグジットの時は大いなる試練であった。リスクオフで猛烈に円が買い進められ、何度も損切りしようかと迷ったが何とか我慢して持ちこたえたのであった。それから5か月近くも経ってまた大きなイベントであるアメリカ大統領選挙を迎えることになった。その時点での私の保有ポジションは、米ドルの買いが26,000通貨で平均単価が105.412円、豪ドルの買いが11,000通貨で平均単価は77.638円であった。それまで半年間も含み損の状態で抱え持っていた訳である。含み損の合計金額は、最大で15万円ぐらい、保有期間通期の平均でも7~8万円ぐらいはあったと思われる。まあ勉強代だと思えば、そのぐらいの金額であれば損切りさせてもよいのだが、しかしそれをしても私の考えとすれば何も身に付くものはないし、身に付くものがない取引を繰り返しているとすぐに損失額は30万円、50万円と増えていくであろうことが予想されたので損切りはできなかったのである。正直に言うとこの半年間で1度だけ、米ドルが1ドル100円割れしそうになった時に1000通貨だけ1万円ほど損切りをして、平均単価を切り下げたことがあった。FXをやっている人にはわかるであろうが、含み損を抱えたまま長期間保有し続けることは、それだけでなく自分の決めたルールを継続させることは非常に困難なのである。それで大統領選の開票時における値動きであるが、トランプ氏優勢で一時は101円台前半まで円高になって、私は90円台も覚悟の上でその後も半年でも1年でも損切りせずに持ち続ける以外にないと半ば諦めていたのだが、信じられないことにトランプ氏の勝利が確定した途端にドルがぐんぐんと上昇していって、半年間保有し続けてきた私もそのあまりの乱暴な上下動に振り回されるように、ドルが105.772円の時に26,000通貨全量と、同じく豪ドルを80.751円で11,000通貨全量を決裁してしまったのである。ドルの利幅は僅か36銭で利益額は26,000×0.369,360円である。豪ドルの利幅は、3.113円抜けたので利益は11,000×3.11334,243円あったのでまあそれは良しとして、米ドルがその後、最高値109.755まで上昇するとは思いも寄らないことであった。私が売った105.772から4円近くも上回っているのである。26,000を掛けると約10万円である。相場とはそういうものだと言ってしまえばそれまでだが、私は含み損を抱えたまま半年間も米ドルを持ち続けてきて、決裁した僅か4営業日目に訳のわからない奇怪な値動きで4円分もの利益を取り損ねてしまったものである。このように具体的に説明すれば私の悔しさ、腹立ちが理解してもらえると思えるが、要は前回も言ったように、後になって分かったことだが、民主党から共和党に政権移行が決定した瞬間にドル高になる可能性があるという動きが全く私には読めていなかったのであるから、これはもう自分自身の実力不足であるとしか言えない。今考えても悔しいが、まあいい勉強と経験にはなった。まったくのど素人でFXを初めて1年経ったが、この1年を通しての損益はこの11月末で確定する(毎月エクセルできちんとデータを整理している)が、恐らくは5万円前後の赤字である。1年間に5万円程度の赤字であれば、まあ教材費のようなものである。私が1年間米ドルの動きを見てきた感想を言わせてもらえば、僅か1年程度のことなので偉そうなことは言えないが、やはり米ドルの動きは、怪しいし、極端だし、不可解なのである。それゆえに単に儲けることだけで考えれば、米ドルをやめて豪ドルの方がはるかに取りやすいように感じられるが、私は米ドルの動きを通してアメリカという国家そのものを深く理解しようとやっているところも大なので、リスクは大きくても、やはり米ドルを外すわけにはいかないのである。米ドルの怪しさはアメリカの怪しさそのものであり、それは一人の日本人としていかに考え、日本の自立をどのように方向づけるということと深く結びついているからだ。ともかくも為替相場は難しい。魔物である。しかし私にとっては儲けることも重要だが、その魔物の心の奥底を覗き見たいのである。日本を守るためにもだ。