龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ステロイドの弊害と社会の実相


ステロイド軟膏推進派の皮膚科医(ということはつまりほとんど全ての皮膚科を代表しているということだが)が、様々なアトピー関連の著書で主張する論拠は、マスコミがステロイドの副作用や弊害について過大に吹聴するがゆえに、多くの人が必要以上にステロイド使用について不安感や恐怖心を抱いてしまっているが、皮膚にアトピーの症状が出ている時には、火事の火を消火するのと同様に、怖がらずに強いステロイド剤を使い続けるべきであり、症状が治まってきた段階で徐々に弱いステロイドに変えて、使用する分量も減らしていけば、その内に止めることができるようになり、副作用や後遺症の弊害が生じることはないというものである。医師や著者によって、説明方法に多少の違いはあるが、概ねそのような内容である。ご本人やご家族などがアトピーに苦しんでいる多くの人に訴えたいことだが、一口で言えば、騙されてはいけないということに尽きる。どうして日本の皮膚科医は、ここまで平気で嘘をつけるものであろうか。先ず、ステロイド軟膏使用に不安や恐怖を抱いている人が多いのは、マスコミのせいではない。確かに一部の週刊誌は薬害について特集を組んだりする時もあるにはあるが、そのような記事を読んでいる人など、皮膚病を患っている人の中においても、ごく一部である。ましてや国民全体で見れば、薬害について関心を持ち、そのような記事や著書を日ごろから意識して探したり、読もうとしている人間など恐らくは1%もいない。現実には、国民の99%以上の人々は、無条件に医師の説明を鵜呑みにして信用しているものである。だからほとんどの人が(私もそうだが)、騙されるのだ。週刊誌の記事などとは比べ物にならないぐらいに大衆に影響力を有しているTVや新聞などは、社会的に評価の定まっている過去の薬害事例については論じることはあっても、現時点の現在進行形で生じている薬の様々な危険性や問題などについては、決して、断じて論及することなどあり得ない。大袈裟な表現を許してもらえば、ある日突然、地球が反対周りに自転することがあったとしても、TVや新聞が製薬業界全体を相手に、病院と薬にまつわる問題提起を率先して行うことなどあり得ないことなのである。但し例外はあって、それは政治的にそのような動きが現れてくれば、当然、それに追随する程度の報道は行われるであろうし、もう一つは、これは日本の政治とマスコミに共通している手法であるが、たとえば薬害エイズ問題の時のミドリ十字などもそうであるが、機が熟せば、どこかの一法人、あるいは一人をスケープゴートにして袋叩きのような報道はされるが、そういう状況に至るまでは、業界全体或いは社会全体に通底、遍在した潜在的な問題である間は、貝のごとく固く口は閉ざされ、神のごとく黙して語られないものである。多くの大衆は理解できていないようだが、新聞やTVなどは「正義」などとはまったく無関係に成り立っているものである。というよりもそもそも正義の正体とは一体、何かということにもなるが、ここではこれ以上に哲学的な追及は避けることにする。とにかく大衆のマスコミ批判を逆手にとって、ステロイドの薬害認知が社会全体に拡散することを妨げようとする動きがあるので注意する必要性がある。
それから強いステロイドの使用から症状の緩和に合わせて、弱いものに変え、分量も減らしていけば、いずれ止めることができるので心配したり、不安に思うことはないという医師の説明についてであるが、よくもまあそのようないい加減なことをのうのうと言えるものだな、という思いである。皮膚病で苦しんでいる全ての人に訴えたいことであるが、私は医者ではないが、以下に述べることは皮膚科の大半の医者が主張することよりも正しいし、そのように考えてもらって大丈夫であると確信を持って断言する。先ずステロイド軟膏の使用について不安を持つ必要性がない場合は、ごく短期間(せいぜい1週間以内)に、体のごく一部の小さな面積に塗る場合である。ところがアトピーであるとか、私の場合がそうであったが原因不明のアレルギー症状の場合は、ステロイドの使用が必然的に長期化するものであり、短期間の軽微な症状の患者にステロイドがよく効いたからといって、重篤アトピーの患者にステロイドが有効であるか、弊害がないのかは全然、別次元の問題のはずなのである。この基本的かつきわめて重要な大前提について全ての皮膚科は、患者に全く説明しないし、説明しないという以上に、ステロイドを出し続けるビジネス(医療)スタイルを保持するために、意識的に曖昧にしてごまかしている姿勢が、そもそも犯罪的なのである。それから徐々に弱いものに変えて、分量も減らしていけばいずれはステロイドを止めることができるから、それまでは怖がらずに使い続けるべきだという理屈は、机上の空論と言うか、全くステロイドの使用実態からかけ離れたものでしかない。なぜならステロイド外用薬というものは、根本治療となるものではなく、対症療法に過ぎないものである。アトピーを根本的に治そうと思えば、結局は身体の内側から体質改善しなければ、寛解とも完治ともならないものである。それで多くの皮膚科はステロイドを出しながら、付け足しのように通り一遍の食事指導などもするものであるが、はっきり言って、体質改善などそうそう簡単にできるものではない。私自身は、当時掛かっていた皮膚科のせいでアトピーにされてしまったことから強烈な恨みのような感情があって、皮膚科の言うことなど信用できないから、自分の判断と意志力で治さざるを得ないという諦観とほとんど執念のような気持ちで、体質改善に努めてきたので、前回にも述べた通りステロイドのダメージは残っているもののアトピーは治ってしまっているが、唯々諾々とその辺のインチキ皮膚科の説明を信用しているだけの患者に徹底的な体質改善ができるかと言えば、まあ絶対に不可能とは言わないがかなり難しいとは思う。それから皮膚の状態というものは、アトピーなどは特にそうだが一方向にわかりやすく良くなっていったり、或いは悪化するものではなくて、ストレスやその日の体調などによっても影響されるので、皮膚科医の言う通りに、徐々にステロイドの使用量を減らしていけることとはならず、一定分量、一定強度のステロイド使用が常態化、習慣化する傾向性から脱却することは現実的にはあり得ないことである。よって私のように、ステロイドを止めるのであれば、ある日、急にぱたっと止める決断をする以外に道はないものである。それで一般的には、表面的に良くなったり悪くなったりの周期を繰り返しながら、根本的な治癒とはならず、腐れ縁のようにステロイド軟膏を長期に亘って塗り続けている人がたくさん存在するということである。そしてそのような状況が日本全国の皮膚科医や製薬会社にとって都合のよいマーケット環境であるということは、嫌味でも皮肉でもなく、事の真相なのである。
もう一点は、これは非常に重要なことなので是非、理解していただきたいのであるが、ステロイド軟膏が人体に及ぼす影響力というものは、皮膚科医が説明するように強度や分量を段階的に弱め、減らしていけば離れられるという性質のものではないのである。この点についてもほとんどの町の皮膚科医が単に無知なのか、薬をだすために意図的に嘘をついているのかわからないが、患者側の立場から見ればほとんど犯罪的な過ちである。皮膚科医の説明では引き算の論法になっていて、総合的に一人の患者に使用させるステロイドの量を多くするものであるが、ステロイドの影響力とはある一定期間(たとえば1年間)に、どの強度のものを、どれだけ(何グラム)使ったかを合計して、あくまでも足し算で考慮されなければならない性質のものなのである。皮膚科医が言うようにステロイドの強度のランクを落としても、分量を減らしても、その分依存性が下がっていくのではなくて、増加の程度が減っているだけで、全体として増えていることには何ら変わらないのである。少し専門的な話になるが、ステロイドは目には見えない影響力が蓄積されていくものである。難しい言葉で言うと「エピジェネティック変異」というらしいのだが、要するにステロイドを長期間に亘って、皮膚の相当面積に塗り続けると、その状態が皮膚や人体にとっての環境になってしまって、塗布した部分の皮膚の遺伝子レベルでの変異をもたらしたり、コルチゾールなどのホルモンの分泌量を変えてしまうものである。私も当初は、体内に吸収されたステロイドの残滓物質が代謝されずに悪影響を及ぼすのかと考えていたが、そうではなくてステロイドを塗り続ける状態が、環境となってその影響力が引き算ではなく、足し算で蓄積されていくところに恐ろしさがある。この点について日本のほとんど全ての皮膚科医は、全く理解していないか、理解していても黙って無茶苦茶な量のステロイドを患者に出し続けているのである。皮膚科医だけでなくその背後に控えている厚労省であるとか、そのガイドラインにも問題はあると思われるが、また日本だけの問題ではないが、とにかく製薬業界は全体的にはとてつもない政治力を有しているものである。そしてその弊害はヨーロッパやアメリカなどと比較しても、日本は民主政治の成熟度が低いために大きいものと考えられる。日本とは多くの日本人が漠然と思っている以上に恐ろしい国なのである。