龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

花見と酒と日本人の幸福について

酒と言うものは、色々な意味でリスク要因である。健康を損なうということだけでなくて心配の種でもある。私が免疫力を向上させるために、2年半の間、断酒していて、身体の調子がよくなってきたことと高校時代の同級生との付き合いが増えてきたことなどから、家では飲まないが、外でだけはたまに飲むということにルール変更してきた経緯については、3月23日の記事に書いた通りである。実際に自分の体験で言えば、酒などというものは、毎日飲むものではないと思う。たまに飲むから美味しいし、それが身体にも財布の中身の負担にも優しいのである。国民の全てが現在の私と同じように週に1回程度の飲酒生活にすれば、当然酒造メーカーの売り上げは激減してGDPも落ちるであろうが、その分全ての国民が心身の健康を回復して、現在の国家財政を圧迫している年間100兆円超もの社会保障費は大きく削減できるのではないのか。果たしてどちらの選択の方が正しいのであろうか。どちらの選択が国民の幸福に結びつくのか。芸能人がドラッグで逮捕されるたびに、コカイン使用などの害悪について言い立てるのであれば、もっと身近な日常的な酒の飲酒についても、問題視すべきではないのか。
さてそれで、酒についての心配の種とは、自分のことではなくて息子のことである。この4月から大学生活が始まった息子は、クラブやサークル巡りを高校か中学時代の友達と一緒に毎日のようにしていて、毎晩、その日の見学先のクラブの先輩に御飯を奢ってもらっているようだ。それもどうかとは思うが、まあ今が一番、楽しい時期なのであろうし、大学生にもなれば交友関係や世界が拡がって、大人になっていく段階なのであまり親としてこまごまとした生活干渉もし難い。但し子供が何をしているのかわからないという状態が怖いので、一応、日々の生活のチェックだけはするようにしている。息子が自分から進んで報告してくるようなことは有り得ないが、私が聞けば、面倒臭そうにではあるが、最低限の答えが返ってくるという状況である。それで昨日の日曜日は、夕方から何のクラブかサークルかはわからないが、先輩たちの花見に参加してそこで晩御飯を食べてくるという。具体的な場所もわからないが、大学のキャンパスかその近隣で催されるらしい。それで心配なことは、言うまでもないことだが花見に酒はつきものだということだ。息子は18歳なので、法律上は酒を飲める年齢ではない。だから親とすれば、一応は酒は飲むなとは言う。しかしそれをどの程度の強さで言えばよいのかということがわからないというか、問題である。絶対に一口も飲むなとまでは言えない。まだ正式に入部している訳ではないから、無理やり飲まされることはないであろうが、自分からのこのことそのような場に参加して、ただ飯を食べさせてもらっていて、先輩たちから酒を進められれば、少しぐらいは飲まなければならないであろうことは容易に想像がつくことである。しかし、だからといって花見になど行くなとも言えない。思い返せば、私が大学生ぐらいの時代には、女子学生の親はともかく男子の親が、18歳にもなれば酒のことであれこれと心配するような風潮はまったくなかった。私も大きな声では言えないが、その当時は無茶な飲み方をしていたものである。それに比べて今の時代は微罪の違反に妙に厳しいと言うのか、何か問題があった時に鬼の首を取ったように糾弾して責任を問うという傾向が強いように感じられる。我々一般社会は芸能界ほどではないのであろうが、それでもそういう全体的な雰囲気と言うものは親とすれば無視できない。結局そのような世相は、遵法意識の高まりを反映しているというよりも、誰かが警察に逮捕されて社会の一線からドロップアウトした時に、自分は社会の正義の側に留まっているということを再確認して、ささやかな安心と幸福に浸っていたいだけではないのか。そのような人間に限って、追及されるべき社会全体の幸福というようなことは人生の中で一度も考えたことがないのに、原理主義的にあらゆる法令違反や脱法行為は絶対的な悪だとみなして厳正に処罰されることが当然だと主張する。そのような人間に限って、お上が許容することは全て幸福につながると無意識に考えているから、酒は身体にも精神にも悪いから極力、飲まない方が良いという自己判断や自主的な節制をいつまだ経っても得ることができないでアルコール中毒症に陥ったりする。そのような人間に限って、権力に命令される状態が幸福だと考えているから、令和などという元号を示されても、いい名称と好意的に受け入れて私のような拒絶反応は起きないのであろう。そのような人間に限って・・・もうこの辺で止めておこう。
ともかくも息子のことに関しては、どうせ大学生にもなればこれからいくらでも飲む機会はあるのであろうし、入学直後の花見程度のことで心配しても仕方ないことだと思うことにした。さすがに最近では少なくなってきているようだが、一気飲みの急性アルコール中毒で救急車で運ばれたり、泥酔状態で器物を破損したり、他人とトラブルを起こしたりすることさえなければ良いのである。親として、まだ成人に達していないのだから酒は一滴たりとも絶対に飲んではいけないなどと役人のようなことを言うことは現実的ではない。むしろそういうことで親が干渉し過ぎることは過保護だから、本人の判断に任せて放っておくべきことなのかも知れない。そうでなければいつまで経っても大人になれないであろう。しかしそうは言ってもやはり心配性の私は、息子が花見に向かっている時間帯にラインで、「酔っ払って回りに迷惑をかけないように」とメッセージを送っておいた。そうしたところ、しばらくしてから予想外の返答が返ってきて私は思わず言葉を失ってしまったのであった。
「自分がどれくらい飲めるか把握しているので大丈夫。」