龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ランドセル


今年の4月から小学校に入学する息子と一緒に先日デパートまでランドセルを買いに行った。ところでラ

ンドセルって、いくらぐらいすると思う?

せいぜい2万円ぐらいかな、と胸算用を立てていた私は馬鹿だった。さんざん迷った挙句、私が選んだの

はランク的には中クラス程度のものだったのだが3万8千円もしたのである。高いものだと5万円以上す

るのである。ひえー、だ。6年間使うものだから安いというべきなのかも知れない。でも、これだけ高い

と買えない親もいるのではないかなどと余計な心配までしてしまう。スーパーあたりで探せば2万円台で

買えるのかもしれないけど子供のランドセルぐらいはデパートで買ってあげたいではないか、親心とすれ

ばね。


しかし、ランドセル一つ買うのにこれだけ金が掛かるようではいくら仲の良い夫婦であろうと(まあ私の

場合は地上最悪であるが)子供を二人も、三人も持てなんて到底できない相談だ。日本は電気やガス、水

道などの公共料金や住宅費、教育費などの生活固定費が可処分所得に占める割合が高すぎるのだよ。要す

るに余裕のない家庭が多いということだ。これは構造的な問題だと思われる。少子化対策というなら、も

っとそういうところにメスを入れていくべきだろう。ごく一部の資本だけが儲けていても国全体は良くは

ならないんだよ。


話しは変わるが、デパートにランドセルを買いに行く前に息子をからかってやろうと思って、もし紺色の

ランドセルが売り切れていたら赤色にすると言ってやった。

私の息子は6歳にしてジェンダーフリー反対論者なのである。息子が4歳ぐらいの時だったと思うがこん

なことがあった。当時、私はよく息子と言葉遊びをしていた。私が息子に質問する。“し”がつく物で三

つの色が並んでいるものはなーんだ? 息子は得意そうに“信号”と答える。「ピンポーン、大正解で

す。」今度は息子が私に出題してくる。“そ”がつく物はなーんだ、ヒントは無しだという。4,5歳の

子供の語彙などたかだかしれているので通常はヒントがなくても息子が何を考えているのか私は大体、感

でわかる。しかしその時は思い浮かばずにヒントを教えてくれと頼んだ。すると息子は渋りながら「女が

するもの」だと言う。「女がするもの」で“そ”がつくもの? 私はしばし考えたがわからずに降参だと

言った。息子は「掃除機」だと答え、私は大爆笑してしまった。子供と遊んでいると実に楽しい。


私が赤色のランドセルにするかも知れないといった時、息子は「赤は女の色やんか。絶対いやや。」と最

初は笑いながら言っていた。しかし私が「ちょっと買う時期が遅うなってしもたから、もう赤色しか残っ

てないかもしれへん。電話でお店の人に聞いたら、そう言われたんや。別に赤色でもかまへんやろ。」と

真顔で言ってやると、だんだんと不安そうな顔になってくる。私はおかしくて堪らなかった。デパートの

売場に着いて黒や紺のランドセルがたくさん並んでいるのを見たときの息子のほっと安心した顔は何とも

言えず傑作だった。別に男の子が赤のランドセルを背負うのが悪いとか、女の子が黒のランドセルではお

かしいなどとは言うつもりはない。でも日々の厳しい生活環境の中で誰が教えたわけでもない、このよう

なちょっとしたささやかで自然な子供の素直な感覚が心を和ませてくれるのである。女性に対する差別や

蔑視がいけないのは当然のことであるが、こういう小さな平和を壊さないで欲しいものである。

結局私が許せないものとは、あるレベルで見れば正しいと言えるかも知れないがもう少し高所から俯瞰し

てみれば、非常につまらないものである以上にその対立そのものが誰かの利権に加担しているものでしか

ないと言えるような全体的な構造なのである。

しかしこんな事を書けば、日頃ネタ探しばかりしている基本的に暇人の奴らを刺激することになるんだろ

うな。そしてある日、「ランドセルの色とジェンダー」なんて記事を読まされることになるのだろうか。

あぁ、いやだ、いやだ。それだけはお願いだから止めてくれ。子供たちが安全に楽しく学校生活を送って

くれさえすれば、それでいいじゃないか。

そんなことを考えながら寝床につくと私は今夜も悪夢にうなされそうだ。