龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

生きること、書くこと 139


あれは、雨降る2週間ほど前の日のことであった。

夜の6時半頃であったと思うが、荷物を降ろすために車(マツダのヴァン)を会社の前に止めた。会社事

務所の前は4メートル幅の歩道がある。その前の道路は中央分離帯で仕切られた片側2車線の国道であ

る。事務所の前は歩道と国道の境界部分の段差がない角地なので、私はいつも車を半分歩道に乗り上げて

停車することにしている。

車から降りようと運転席側のドアを20cmほど開けた時に、“ガチャン”と音がして衝撃があった。私

は驚いて思わず、「あっ」と声を上げた。自転車がぶつかったようだ。自転車は転倒することも、止まる

こともなくそのまま行き過ぎた。車から降りて見ると、ドアを開ける取っ手部分が取れてぶらさがってい

る。ふと前方を見遣ると、30メートルほど離れた地点で自転車が止まって振り返りこちらを見ている。

自転車の男は、“当て逃げ”扱いされることを心配したのであろう。私は自転車の男を手招きで呼び戻す

かどうか一瞬、迷ったのであるが、車と自転車であればこちらが不利になるであろうし、その程度のこと

で過失割合がどうのこうのと面倒なことをやってられないと思った。雨も降っていることだし男と口論し

ても仕方ない。男と私に30メートルの距離を挟んだ間合いがあったが、私に争う気配がないことを男は

感じ取ったのであろう。自転車の男は、了解したように何も言わずそのまま立ち去った。

翌日の水曜日はマツダ売店が定休日であったので、翌々日の木曜日に早速、部品を取り寄せてもらって

売店へ修理に行き、そこでマツダのサービスマンと話しをした。

私が自転車に車道を走らせるのは問題だと意見を述べると、サービスマンは

「ほんまに殺生な話しやと思いますわ。そやけど、この程度のことで済んでよかったですわ。もし自転車

がこけて怪我でもしていたら、ややこしいことになっていたと思います。車と自転車やったら、どうして

も車が悪くなってしまいますから。」と言っていた。

自転車が車道でこければ怪我どころか、後続車にはねられて死亡事故につながる可能性があったと考えれ

ばぞっとした。ドライバーなら誰でも同じだと思うが、車のドアを開ける時にはそれなりに注意を払って

いる。しかし私の場合は、雨の日の夜間で相手方自転車が無灯火であったのでまったくわからなかった。

そもそも自転車が車道を当然のように走ってくるという感覚が身についていない。危険性の問題点は、バ

イクであれば車のドアがいきなり開くことを絶えず“本能的”に警戒しているので停車している車のすぐ

際をすり抜けてくることはあり得ないのだが、車道を走っている自転車は自分が後続の車に引っ掛けられ

ることを“本能的”に恐れるから停車している車すれすれの所をかすめてくるということである。それは

普通の自転車はバイクのようにバックミラーが付いていないから右後方の車が見えないし、また危険を回

避するためにバイクのようなスピードが出せないから当然であるとも言える。また自転車のライトは仮に

点いていたとしても車やバイクに比べればかなり光度が弱いから、雨の日であればおそらくわかりにくい

であろう。

それらの理由で私は自転車が原則的に車道を走るべきだという指針は大いに問題があると考えるものであ

る。歩道を走る自転車の死亡事故が多発しているというが、歩道はあくまで歩行者優先で安全に自転車を

走らせていれば事故など起こるものではないはずだ。歩道を我が物顔にマナー違反の危険走行をしている

自転車に対して、警察は注意や取締りをするべきである。そもそも今でも、警察は暇つぶしのように若者

の自転車を止めては無灯火の注意や盗難の照会をしているではないか。そんな暇があるなら歩道における

自転車の安全走行に目を光らせるべきである。それが公務員の仕事だ。高齢者や子供を除く、全ての自転

車は車道を走れという国の指針は滅茶苦茶だ。私のようにドアと接触するケースだけでなく、車が左折時

に自転車を巻き込む事故も増えるのではないかと危惧されるものである。

それで聞くが駐車禁止の取締りをしている二人組みの監視員が、正々堂々と歩道を自転車で走らせている

のは一体どういうわけだ。民間人は危険でもかまわないが、警察の手下は特例ということか。この点につ

いてはマツダのサービスマンに聞いても

「さあ、我々にはわかりません。」とお手上げの様子であった。

年の瀬も押し迫ってきたが景気も回復の見込みが見えないし、世の中腹の立つことばかりである。