龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

生きること、書くこと 149


いよいよ小沢一郎が“コーナー”に追い詰められつつあるようだ。これまでの西松建設絡みの迂回献金

鳩山首相の偽装献金に比べて、賄賂性の疑いがある4億円もの金の出所追求から逃れることはそう簡単で

はないであろう。検察は秘書や元秘書を逮捕するために強制捜査などはしない。あくまでも本丸は、小沢

一郎である。しかし、この戦いを我々は単純に検察対小沢一郎などと劇場化して見ることが妥当と言える

であろうか。

私は小沢一郎民主党に対して不公平な肩入れをしないように努力しようとも、民主党政権誕生以降の検

察やメディアの動きは異常というか度を越えているように思うことを禁じえない。小沢幹事長は当初、西

松事件の際に“国策捜査”という言葉を使って検察を非難しその後、自重に転じた。政治権力の中枢に位

置する人間が、もう一方の検察権力の独立と自主を尊重しなければならないのは当然だという諫言と反省

があったのであろう。しかし国民的に見れば、もちろん洗脳や誘導を除外しての話しであるが、一連の動

きは明らかに“国策”である。民主党が向かう政治の方向性が固まり切らない内に潰してしまおうとする

策略が強く感じられる。そのために検察が、なりふり構わずに矛先を民主党中枢部に向けていることはわ

かる者にはわかるはずである。メディアはそのような流れに同調しているというよりも自ら率先してい

る。

これは世論という川の流れを変えるための河岸工事が大掛かりに行われているのである。そして日本はそ

のような誘導工事が極めて達者な国なのである。先進国の中でもトップクラスではなかろうか。思い返せ

ば、これまでの主だった政治家の疑獄や疑惑は田中角栄以来、一貫して共通している要因がある。“わか

る人間”には言うまでもないことだが、アメリカを怒らせるかアメリカに敵対する大国や社会主義国に接

近し過ぎた政治家を粛清しているのである。

田中角栄は1972年、日中国交正常化4年後の1976年にロッキード事件が起こった。金丸信北朝

鮮との親密な関係や利権が噂されていた。橋本竜太郎は日本が保有するアメリカの国債を売りたいと発言

してアメリカを激怒させた。鈴木宗男北方領土返還交渉に際してロシアに深入りし過ぎた。それでは民

主党政権の命運はいかにということだ。

評論家の副島隆彦氏と元外交官の佐藤優氏との対談本で、佐藤優氏の一連の事件に際して副島隆彦氏は裏

で日本の検察に対するアメリカの指示や圧力があったであろうという見解に対して、佐藤優氏は、そうで

はないと思う、外務省内にはアメリカの都合や意向を忖度して自己保身のために身内を売るような勢力が

あるのだと発言していたように記憶している。私はその箇所を読んだ時に直感的に佐藤優氏が言っている

ことの方が実情に近いのではないかと考えた。アメリカは大国としてのプライドもあり、ましてや共産主

義の独裁政権に対抗する自由の大切さを一義的に掲げる国家である。よってアメリカの国益に背くからと

いって関係国に対する内政干渉はたとえ非公式にであっても、自己矛盾に陥ることになるので出来ないと

思われる。無理をしてそんな愚挙に出れば弱みを握られるだけである。しかし日本とアメリカの関係性は

元々、対等とは言えないものであるからそう簡単に外交交渉の公理を当てはめることは出来ない。相手国

を傀儡化していれば命じなくとも意に沿わせることは可能だ。そこには自縄自縛の呪縛しかない。外務省

内だけでなく日本の管理階層全体がアメリカの利益を忖度して正義概念を駆使しながら国内を統治しよう

とするのである。日本の民主主義などその程度のものである。

アメリカに反抗的な政治の動きが見られれば、早速、自律的に検察やメディアはアメリカの子分としての

繁栄と保身を維持しようとして白血球のように異分子を退治しにかかるのである。それが日本の民主主義

ホメオスタシスだ。

しかし私は思うのだがこの国はいつまでそのような茶番の“ままごと”を続けるつもりなのだろうか。

“普通の”国民は気付いているぞ。もちろん政治家の不正を肯定するつもりは毛頭ないがそれとこれとは

次元の違う問題である。多層的かつ多面的に問題を見る目を持たないと操作されるだけである。そして操

作される人間が多ければ、権力が多数を操作する方便が巧みに社会正義に摩り替えられることになる。呪

縛は圧力よりもはるかに根深い問題である。当事者が自分達こそ正義であると信じ込んでいて低レベルの

自覚しか持ち得ていないからだ。

小沢幹事長周辺への強制捜査とタイミングと合わせるように新聞では日米同盟の重要性を印象付ける記事

が掲載され、NHKでは解散総選挙を想定した番組作りの動きが出始めている。心ある国民よ、目を覚ま

せ。目覚めている人間が少ない国はあまりに寂しすぎるから。