龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

デフレと消費税

消費税増税について意見を述べたい。結論から言えば、現在の極端なデフレ状況下で消費税を10%にすると日本国内の経済も生活も息の根を止められてしまうであろう。景気回復の道筋は、先ず第一に緩やかなインフレ誘導する政策にあるのではないかというのが私の考えだ。デフレ脱却を端緒にして景気回復の道をつけ、日経平均株価が最低でも15千円を下回らないような状況になってから新たな消費税率を具体的に検討するべきだ。現時点では、消費税増税の議論をするべきタイミングではない。
デフレについて言えば一長一短があって、良いところは全体的に生活コストが低くなるので低所得者であっても何とか暮らしてゆくことが出来るという点にある。しかしそれは、製造業にあってはこの10年間ほど生産拠点を中国などの海外に移して、日本国内を空洞化させてきた代償の下での恩恵なのである。近視眼的に見れば、物の値段が安くて良いという実感はあったであろうが、一方では国内に仕事がない、給料は上がらない、ボーナスがもらえない、いつ会社が潰れるかわからないなどの不安社会に日本を陥らせる要因となってしまった。当初はデフレの悪いところがそれほど目立たなかったのであるが、今日にあってはデフレの短所が長所をはるかに凌駕して、企業収益と国民生活を圧迫している状況にある。歳出を徹底して切り詰めれば、消費税を上げても許されるという理屈は役人の考えである。官僚は特に高級官僚は、自分の収入が生涯保障されている身分にあるから、末端の国民生活や企業経営を軽視して、歳入と歳出の計数感覚だけで税を考えているように思える。菅首相は、民主党が国民から負託された政権交代の歴史的役割から自民党時代の官僚に誘導される政治に逆戻りしているように感じられる。デフレの危険性は、舵取りを誤れば急激なインフレに反転する可能性を孕んでいるところにある。デフレからの脱却とそれに続く国内景気の回復を慎重に進めていただきたい。消費税増税論議はそれからだ。
もう一つ言っておきたいが、経済の国際化、グローバリゼイションという言葉は自民党時代から耳にたこが出来るほど何度も聞かされ続けてきたが、ちっとも日本の国際競争力は強くなっていないではないか。携帯電話も、家電製品も日本製は技術力は高いのに、海外ではほとんどシェアを取れていない。日本にとっての経済のグローバリゼイションとは、中国の安い人件費で安物を作る程度のことであったのである。これではデフレに潰されて当然である。一方、韓国などは年々、国際競争力を強めてきて今や日本は足下にも及ばなくなってきている。この差は企業の商品力にあるのでも技術力にあるのでもなく、政治力の違いではないのか。政治の足腰が弱いから、日本の経済も駄目になっているのである。政治家なら逃げずに真正面から本質を見ろと言いたい。それを国際競争力を高めるために法人税をどうの、こうのという論調は自らの無能をごまかすための、これまた官僚的なごまかしに過ぎない。
物事には順序というものがある。政治の不安定と大局的に本質を見極める知性の欠如のもとでいつも順序が狂うのである。