龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

TPP加盟反対 2

TPPは、当初シンガポールブルネイ、チリ、ニュージーランドの経済規模の小さな4カ国が提携して経済連合のスタイルを取ることにより、市場におけるプレゼンスを高めることが発足の目的であった。ところが2010年にアメリカが参加を表明したことで大きな転換点を迎え、性質が変わることとなった。
アメリカ主導の下で推し進められることになったので、当然にアメリカの覇権主義的なルールや流儀が加盟国に押し付けられる可能性が極めて高い。それでも経済規模の小さな国々は輸出が増えるメリットの方が大きいであろう。中国や韓国は当初、前向きに検討していたようであるが、関税の例外品目を認めるFTA(自由貿易協定)に切り替えてTPPには参加しないことに決めた。
TPPは原則として2015年までに加盟国間において、工業、農業、金融、医療、労働など全ての分野において関税及び非関税障壁を撤廃しなければならない。この協定はアメリカのような強力な軍事力を背景とした覇権主義や経済弱小国家にはメリットがあるであろうが、アメリカに次ぐGDPの国にはあまりにリスクが大きい。だから中国や韓国が最終的に不参加を決めたのは当然の賢明な判断であると言える。その理由を一口で言い表せば、国の戦略性が生きないからだ。韓国は中国や日本に比べて、経済規模は小さいがその分、戦略の塊のような国である。ITや自動車、家電などの利益の大きな業種に優秀な人材や国の予算を投入して一点突破で世界的にプレゼンスの向上を計る。しかしホームセンターや100円ショップで売っているような工具や日用品雑貨などの儲からない品目を製造している町工場は韓国にはまったく存在していない。そういう細々とした品目は全て中国や日本からの輸入に依存しているのだ。近年の日本国内及び世界的な“韓流ブーム”も韓国の国家ブランドを引き上げるための政治的な戦略に沿っているものだと思われる。しかしその一方で韓国は農業にもかなり力を入れている。それは農業がIT産業同様に、国力の根幹であることをよくわかっているからだと思われる。韓国は卓越した戦略がなければ生き残れない国である。だから当然のように戦略がある。つまりTPPのような協定には参加しない。しかし状況は日本にとっても今や、さほど異なるものではないはずなのだ。日本ほど世界的に見ても、戦略性の欠落した国はない。アメリカがTPPの主導権を握るや否や、忠実な家臣のように追随してこの協定に参加しなければ世界の孤児になるなどとのたまう。日本の農業が壊滅的な打撃を受けることが目に見えているのに、競争原理に晒しさえすれば成長路線に転化するかの幻想を振りまき続ける。グローバリゼーションとか自由化などの薄っぺらな言葉に惑わされてはならない。中身のないスローガンが国民を不幸に導くのだ。本当に日本のような自主独立の主体的な思考がない国は珍しい。だから私は憲法改定の必要性を訴えるのだ。自主憲法の制定は、単に安全保障だけでなく経済や政治、国民生活全てに関わってくる問題なのである。自主憲法の必要性はともかく、食は命の糧であると同時に文化である。日本の豊かな食文化は明治開国に始まったわけではない。それこそ縄文時代から数千年間も綿々と引き継がれてきた日本の心である。そういう心を平気で売り払おうとする政治家は国賊だとしか言えない。