龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

正しい日米関係

ここにおいて日本と米国という二国間の関係が、マスコミの報道を離れ、実態としてどのような性質のものであるのかということについて我々国民が認識を深めなければ、TPPのような不公平協定の危険性についてもよく理解できないものと思われるのでここに持論を述べたい。もちろん私が述べる内容は一素人の見解に過ぎない。しかしマスコミや体制に権威付けられた識者の言説が必ずしも正しい日米関係を反映したものとは言えないであろうし、またオーソライズされた情報を無条件に受け入れることは、単に思想誘導されている世論以上の意味を持ち得ないという私個人の信念に基づいた意見であることをご理解いただき、稚拙な部分があればご容赦願いたい。日米関係の重要な視点とは、日本にとっての米国ではなく、米国にとって日本がどのような戦略の中で位置づけられているかを、一般の日本人大衆がどの程度正しく認識しているかの点にあるのだと思われる。この視点に沿って考察すれば、最も緊密であるべき日米同盟の姿は、洗脳と言う名の濃い霧に包まれておぼろげにしか見えてこない。米国にとって日本の重要性とは、中国や北朝鮮、ロシアなどの共産主義国家に対して、睨みを利かせる地政学的な拠点であることである。1983年に当時の首相であった中曽根康弘氏が日本を“浮沈空母”にすると発言して国民から激しい批判を受けたが、その表現は米国の日本に対する基本的な考え方を汲み取って迎合したものだと思われる。日本にある米軍基地は、米国にとって絶対に欠かすことの出来ない、アジア地域における対共産主義戦略の枠組みの中に位置づけられているのであって、日本を軍事的な脅威から守るものではないのである。米国にとっては昔も今も一貫して共産主義が敵であるし、また敵でなければ都合が悪いのである。なぜ共産主義が敵でなければならないかについては、説明すると長くなるし、また私の説明能力を超えた手に余る問題でもあるので省略するが、とにかく共産主義を敵視しなければ米国の覇権主義的な体制は成り立たないのだ。よって日米同盟は、資本主義対共産主義という冷戦構造の文脈の中で日本が危機に立たされた時には発動するであろうが、そうでない時は、たとえば韓国のような資本主義国が日本に攻め入ってきたような状況では発動しないと考えられるものである。よって日本という国そのものが、独立国家としての正当な軍事力を備えていなければ、米国の冷戦構造的かつ覇権主義的な文脈の中でしか存立し得ないということに必然的になるのである。また経済は日本がどのように考えようとも、軍事や政治と密接不可分に連動しているものである。今回のTPPに関しても、日米安保条約の条文第2条に、「自由主義を護持し、日米両国が諸分野において協力することを定める。」とあるが、その思想の延長線上で推進されているものと考えられるものである。要するにTPPに加盟することがすなわち日米関係の深化であり、安全保障の強化であると野田首相を初め民主党の中枢は最終的に判断したものだと思われる。その判断は必ずしも間違っているとは言えないかも知れないが、先に述べた通り日米安保は冷戦構造的な文脈の中でしか発動しないであろうことと、TPP加盟がISD条項のように国内の法律で対処できない、より上位のルールで経済活動全般が拘束されることになった時に、日本が国家主権を放棄しているのと同じ事態に陥る危険性を考えれば、到底日本にとってメリットのある協定とは言えないことは明らかだ。誤解のないように言っておくが、私は米国を必要以上に敵視する思想を有している訳ではない。現実に中国の軍事脅威は存在するのであるし、日米同盟は必要だと考えている。しかし卑しくも政権与党の為政者であるならば独立した自立思考を持てと言っているのだ。これは野田や菅だけでなく、私に言わせれば、鳩山や小沢も同列である。米国は基本的に議会であれCIAであれ、日本という国を信用していないのだと思われる。そしてその原因は日本の政治能力の低さにあると私は考えている。どういうことかと言えば、先に述べたように、米国は日本の地政学的な条件により日本を軍事拠点として重要視しているが、反対に中国やロシアに地理的に近接していることから常に警戒し政治状況をコントロールする必要性があると米国に考えられていることである。このコントロールにNHKを初めマスコミが動因されている。ではなぜそこまで警戒されなければならないかと言えば、日本の政治がきちんと米国を相手にコミュニケーションが取れていないということだと私には思われる。日本のこれまでの主だった政治家で言えば、中国との外交を開いた田中角栄や、北朝鮮との利権が噂されていた金丸信北方領土返還交渉の過程でロシアと親密なパイプを築いていた鈴木宗男などが政治的に粛正されるように葬られてきた。鳩山由紀夫小沢一郎の系譜も、その反共思想の一連の流れにおいて理解されるべきかも知れないが、鳩山由紀夫は少しレベルが低すぎた。何の目論見もなく東アジア共同体構想を打ち出したり、対等な日米関係が必要だと唱えたりで、米国に警告されて当然のような態度を取っているのに具体的に日本の政治を前進させるようなことは何一つとして行動できなかった。普天間基地の問題も同様で、最低でも県外などと約束しておきながら、そういう理想を掲げてさえいれば周りの状況が自然とその方向に展開してゆくとでも考えていたのであろうか。本気でそうしようと思えば、水面下で米国相手に全身全霊で交渉しなければ1%の可能性すら生まれてこないことは誰でもわかることだ。しかし鳩山由紀夫に関しては、その奮闘の痕跡がまったく感じられなかった。無意味に期限を設定して殿様のように座して待っていただけである。そして期限が来れば落葉するがごとく自然の摂理に従うように辞めていっただけである。小沢一郎に関しても私に言わせれば、似たり寄ったりである。中国にいきなり子分を100人以上も引き連れて表敬訪問すれば、アメリカが警戒するのはわかりそうなものである。そういう行動を取るなら一方でアメリカに対してもきちんと警戒、干渉されないような意志の疎通と言うか、根回しをしておかなければならない。押しなべて言えることは、日本の政治の根本的な問題は、政治家が対米国において政治的に独立し得ていないのにあたかも独立しているように振舞いたがる点にあるのだと考えられる。それが米国の反共的な政策の一環として日本が必要以上に米国にコントロールされる原因になっているのではないのか。日本の政治家そのものが戦後の体制の中で洗脳され、馬鹿になってしまっているのである。今の野田も同じだ。TPPに関して単に米国に追従しているだけなのに「最終的に自分で判断した。」などと、どうも本気で自分が英断を決したと考えているようである。この政治家の迷妄を開かなければ、日本という国はいつまでも闇の中である。仮に私が日本の総理大臣であれば、月に一度はホワイトハウスに訪問し、意思の疎通に努めようとするであろう。米国の懐深くに侵入しなければ、日本は米国から独立できないのである。しかし無能の民主党にはこれ以上、何も忠告したくはない。一刻も早く解散総選挙だ。野党よ、日本のために全力を尽くせ。