龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

馬鹿はどっちだ。

本当はマスコミも時代の変化に対応していかなければならないはずなのだが、どうも民意とマスコミの論調、誘導には大きな溝がある。政治主導だ、官僚支配だ、という前に、マスコミのコントロールが民意を大きく歪めてしまっている現実がある。その原因には様々な理由が考えられるであろうが、最も大きな要因は、上場している新聞社が存在しないということではなかろうか。日本の新聞社は大手紙も地方新聞も上場していない。上場していないだけでなく外部資本の報道への干渉を防ぐとの理由から株式譲渡制限までかけている。つまり新聞社は経営上の背景として、まったく民意を無視することが出来るということだ。これは本来、非常に重大な問題のはずなのである。日本の民主主義が新聞社の独走によって、本来のあるべき姿から大きく逸脱してしまっているのである。新聞社が上場していれば、とてもではないが現在のような報道姿勢を保つことはできないはずだ。ところがどういう訳か、政治家は誰一人として新聞社の非上場と日本型民主主義の歪みとの関連について、問題提起しようとはしない。ここにこそ日本の大きな暗部が横たわっていると言えよう。長年に亘って、新聞社が民意を無視し得る組織で有り続けるとどのような化学変化が起こるであろうか、よく考えていただきたい。新聞社の連中は、自分たちこそが無知で愚かな大衆を導く特権的な地位の人間であると奢り高ぶることとなるであろう。見掛けは大衆の声を代弁しているように装いつつ、馬鹿な大衆の自尊心を傷つけないように上手く誘導することが報道の役割だと考えるようになるかも知れない。なるかも知れない、というよりも現在のマスコミ報道はその傾向がかなり顕著に現れているように思われる。TPPや消費税増税などにおけるマスコミ報道は、どの新聞社も誘導と既成事実化への一色に染まり抜いている。戦時中の大本営発表と何ら変わるところがないではないか。
TV報道は新聞記事に比べれば、まだ微妙なところはある。放送局は視聴者の抗議の声に敏感であり、また視聴率が常時、計測されているのでスポンサー企業の利益と民意が同じ方向を向いている側面は新聞に比べればはるかに大きい。しかし本質的には同じである。TV報道における古典的な大衆誘導のパターンというものがある。政治とバラエティーが融合したような番組には必ず見られる手法なのだが、ガス抜きのように特定の識者や政治家に国民の声を代弁させておきながら、そうすることによって一定の視聴率を確保しつつも、全体の流れとしては官僚や大企業が意図する路線を維持させようとするやり方である。要するに茶番なのだが、これまでの日本は実際にこのような程度の茶番で民意がコントロールされてきたので、TV放送局はこの手法から馬鹿の一つ覚えのように離れられないのである。ところが現在においてはインターネットの普及で国民の方が賢くなってきており、これまでのようには簡単に騙せなくなってきているのである。しかしマスコミは新聞社であれ系列下の放送局であっても時代の変化に柔軟に対応できるような組織構造になっていないから、延々と同じ振る舞いを繰り返しているのである。前回、私が述べた憲法改定の問題も、TPPや消費税増税もマスコミ報道という観点から見れば、まったく同根である。要するにマスコミ(特に新聞社)は、時代の趨勢に合わせて自らが変質し得るような経営環境に取り囲まれていないから、主導権を国民の民意に明け渡さないということこそが死活問題となってくるのである。そしてその経営上のご都合主義が、日本全体の国益を離れて大企業や日本以外の他国(米国だけではない)と深く結びついているということなのである。お分かりであろうか。私はいわゆる陰謀史観というものを全面的に否定するつもりはないが、日本が直面している問題の根本は、直観的には陰謀によるものではないと考えている。確かに日本は先の大戦で敗北して、新憲法を含め、国家の骨格をアメリカの手によって策定されることとなった。現在においても陰に日向にアメリカの干渉は大きいであろう。しかし日本は、日本国民が考える以上に、アメリカから見れば一個の独立した国家なのである。というよりもアメリカから見れば、日本の真の独立度などそれほど大きな問題ではないのであろう。日本人の意識の問題なのだ。戦後70年に及んで、一部の官僚やマスコミがアメリカの意向を忖度することの利益から離れられないがために、日本の独立と民主主義の形が損なわれてしまっているのだ。TPPなどその最たるもので、確かに日本が加盟すればアメリカは歓迎するであろうが、ただそれだけのことである。本音のところを言えばアメリカは当初、日本をTPPに絶対に加盟させようとなどは目論んでいなかったであろうと思われる。日本の経済産業省などの官僚だけが加盟しなければ大変なことになると、無意味に恐れていただけのことではないのか。そしてその財務省経済産業省、マスコミなどの恐怖心が強すぎるために、同調するように陰謀論が育まれる結果となっているのだと思われる。つまりは日本という国の内面、精神構造上の問題なのだ。この精神構造から脱するためには、まずマスコミの歪んだ頸木から日本人全体が離れなければならない。マスコミが大衆を誘導するのではなく、大衆がマスコミを誘導しなければならない。実際に今やマスコミは、平均的な大衆よりも明らかに馬鹿である。先ずは大手の新聞社を強制的に上場させることが、そのための法律制定が急務だと言っておく。馬鹿よ、馬鹿でもいいから、美しき馬の如く目覚めよ。