龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

政局の行方

大連立については、今に始まった話ではなく、これまでずっと水面下で燻り続けてきた日本の民主主義の一つのごまかしの形である。週刊現代1月21日号に掲載された民主党仙谷由人氏と自民党石破茂氏の対談が、大連立を意識して打たれた布石であると、私は1月7日に「低劣な集約と統合」と題した記事で述べたが、ここにきて野田総理自民党の谷垣首相が極秘会談をしていたり、岡田副総理が自民党の幹部に大連立を打診しているとなれば、これは民主党がかなり、テンパってきていることを意味しているものである。大連立でしか事態の打開を図れなくなってきている、ということだ。背景としては、次期選挙における大阪維新の会の脅威がある。この脅威は民主党自民党共に共通のものである。旧来の政治手法(それは大企業や役人の権益と太く結びつきつつ無知な国民を騙す政治に他ならない)が、大阪維新の会に壊される“危険性”があるからだ。だから民主党としては、消費税増税法案を成立させることも当然だが、自民党と連携して大阪維新の会の脅威に今から備えるべきだと、持ちかけているのである。旧態依然の政治から離れられない自民党大阪維新の会に駆逐されかねない憂慮は当然、民主党と同じであろうが、だからと言ってそう簡単に大連立を組む訳にはいかない。それは谷垣首相が主張する通り、民主党の支持率はもうこれ以上、下がらない状態まで低落しているから大連立によってプラスの効果はあってもマイナスになりようがないが、自民党にとっては政局の中で政党の存在意義を埋没させてしまってマイナスになる目しかないからである。マイナスの目という以上に、自民党が消滅しかねない事態となる可能性が高い。自民党民主党と一体化して、実質的に自民党がなくなってしまえば、旧政治の連立政権対、新勢力の大阪維新の会という新たな2大政党制の可能性が生まれることとなる。それは国民にとっても非常にわかりやすい政治に間違いなくなるであろうが、自民党は、自民党を消滅させてまで大阪維新の会に立ち向かわなければならない根拠がない。その前に与党としての政権運営に完全に行き詰まっている民主党に白旗を上げさせて解散させ、白紙の状態で大阪維新の会に立ち向かった方がイメージ的にも清潔感があるし、何よりも大義が通るからだ。要するに野田や岡田の考えは甘すぎるのである。これで本当に自民党が、民主党と選挙の前に組むと言うなら、明らかに政党としての自殺行為である。いくらなんでも谷垣はそこまで馬鹿ではないであろう。
しかしここにおいてマスコミの動きが問題となってくる。マスコミは典型的に旧政治の利権勢力である。よって大阪維新の会が掲げる改革に対しては当然、協力的ではない。マスコミは本音では、やっと民主党を完全に自民党化させることに成功してほっとしているところに、維新の会が国政進出するとなってかなり頭を悩ませていることであろう。どのような切り口で攻撃すればよいのか、現段階では方向性がはっきりと定まらないからだ。かと言って橋下は、民主党のように簡単に懐柔には応じてくれそうにない。困ったものである。ということでマスコミもまた民主党と同じように、様子見というか、維新の会のめっきが剥がれてくれることを期待して選挙までの時間を稼ぐ作戦にならざるを得ないであろう。そしてその間に、表面的には橋下を持ち上げる論評で油断させながら、その裏で、政界からの失脚に追い込む決定的なネタを探して戦略を練っているのだと思われる。見掛けを信用してはならない。世界は嘘で成り立っている。