龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

イギリスのEU離脱と円高の震度

EUからの離脱を問うイギリスの国民投票を間近に控えて、世界的な金融市場の不安定化と混乱が危惧されている。日本で見れば、離脱が認められた場合、さらに円高が進んで一気に90円台に突入する可能性もあると見做されている。果たしてどうなのであろうか。離脱派と残留派のどちらが勝利することになるのかはわからないが、今の為替レートで見れば、ドル円の104円20銭という数値は、離脱を既に相当程度、折り込んだ水準なのでないのかと思うのだが。最近のドル円の動きを見ていると、104円前半のスタートラインに位置してエンジンを空吹かししながら国民投票の結果と言うシグナルが点灯するのを待っているゼロヨンのカーレースのようである。ただ相場がカーレースと異なる点は、いざスタートフラッグが振られるとどちらに向かって走り出すかわからないところである。104円前半に離脱が折り込まれているにせよ、実際に結果が出ることの衝撃はあるので、いざ離脱となった場合は円高方向に走り出すことであろう。その影響の大きさはカーレースよりも地震に例える方がわかりやすいかも知れない。直下型の地震が来ることはわかっているが、どの程度の揺れになるかは実際に地震が来てみないことにはわからないのである。私は個人的には104円前半のスタートラインが既に歪みのエネルギーが相当程度に解放されていると考えるから震度6や7の大地震にはならないのではないかとも思うのだがどうだろうか。地震に例えると、本震と余震に分けるとより一層分かり易い。離脱の結果が判明した瞬間に一気にどーんと揺れるように、円高に振れるのが本震であり、その後の余波でじわじわと円高圧力が掛り続ける状態が余震に相当する。その時にならなければわからないことだが、私はいくら何でも本震で、つまり離脱確定発表の1分程度以内で2円も3円も円高に振れることはないであろうと考える。せいぜい1円程度ではなかろうか。それでも充分に激震であるが。その後の余震部分も私はあるとしても微弱なものであって、さほど長期化することもないのではないか、むしろその日の内に底を打って反転する可能性が高いようにも想像するが、まあ正直に言ってあまり自信はない。というよりもこのような予測はどのような専門家でも無理なのであって、その時にならなければわからないことなのである。群集心理で動くものは予測不可能なのだ。それゆえに離脱派が勝利すれば、ドル円のレートが90円台に突入する可能性も当然ある。しかしである。ここからは政治の問題であるが、仮に1ドルが90円台から100円台前半の水準で長期的に固定化されるような事態となると、日本の製造業は持たないであろう。持たないと言っても内部留保があるので潰れることはないであろうが、製造業だけでなく日本経済全体に及ぼすマイナスは甚大である。輸入コストが安くなると言っても日本の経済は国内消費が頭打ちの状態なので、輸出が大きく減少すればたちまちに立ち行かなくなるものである。そこで現時点で日本の財務省や政府、日銀がどのような対処を考えているかと言えば、恐らくかなり深刻な危機感を抱いていることは間違いないであろうが、ともかく23日の投票結果が判明するまでは様子見の姿勢を維持する以外にないものということで意思統一がなされているであろう。ただ離脱が勝利し、ドル円が100円割れのレベルになったとしても、もはやその段階では麻生財務大臣の口先介入は何の効力も持たなくなるであろうし(もう既に麻生さんは、同じことを何度も言うのがいやになってきているのか、財務省高官のコメントに変化してきている)、日銀も政府もアメリカとの関係悪化を憚って傍観しているだけの可能性の方が高いような気がする。さすがに現状の金融政策を継続するというようなセリフは言っていられなくなるであろうが、少なくとも日銀の直接的な円売りドル買い介入は現実的に不可能であろう。緊急的な金融緩和の財政出動ではたしてどこまで円安に戻せるかだが、それも実際に行われるかどうかは疑問である。まあそうは言っても、残留が勝つ可能性もあるのであり、そうなれば円に避難して売られたドルが買い戻されるであろうから一旦は元の水準に戻るであろう。また仮に離脱となっても中、長期的に見れば外国人投資家がいつまでも円を保有し続ける理由など何もないものである。日本に帰化するのでもなければだ。今年の年初が、1ドル120円で7月以降は90円台のボックス圏を形成するのだとすれば、半年間で1ドル当たり20円引き下げるのに買われた膨大な円は滞留したまま眠り続けることになるのであろうか。金利もつかないというのに。さて、どうなることやら。