龍のひげ’s blog

子供たちの未来のために日本を変革する

ネット空間に侵入する権力の圧力

最近どうも政治権力によるネットへの圧力と言うか、牽制が目立ち始めてきているように感じられる。具体的には大阪市長が、ヘイトスピーチの動画を投稿した者の実名を公表するべくヘイトスピーチ抑止条例の改正を議会に提案する旨を発表した。ヘイトスピーチの動画を投稿した者ということは、その光景を撮影しただけでヘイトスピーチを主宰、統率した人間とは何の関係もない、単に通りがかりの者であるかも知れないのである。投稿者がヘイトスピーチを扇動するつもりなのか、批判するつもりでネットに公開したのか、或いは単に社会的な一現象を多くの人に知らしめることに意義があると考えたのか、それは誰にもわからないはずである。そういうことを問答無用に罰して、実名を公表するなどという暴挙は、表現の自由の侵害以外の何物でもない。それからそれ以前に、私は大阪市民であるが(こういうことで嘘など絶対につかないが)、ヘイトスピーチなど一度も目撃したことがないものである。私の身の回りにもそういう人の方がはるかに多いと思われる。そもそもの発端からして、ヘイトスピーチなどというものは全く存在しなかったとまでは言わないが、わざわざ条例を作ったり、ご丁寧にも改正までして、対処しなければならないほどの拡がりを有していなかったものである。それを政治やマスコミが、あくまでも「政治利用」するためにことさらに大きく取り上げて、世間の注目と認知を喚起させてきたがゆえに、実態の何十倍、何百倍もの怪物的な存在感となって印象付けられてきたものだと考えられる。
それからもう一つは、俳優の西田敏行さんが違法薬物を使用しているという情報をブログ記事に書き込んで拡散させたということで男女三人が検挙され、書類送検されることとなった。西田さんの事務所は、ホームページ上に事実無根であり、刑事、民事の責任追及を進めるとの告知文を掲示していたとのことであるが、それは「筋道」として違うのではないか。連日の報道を見ていてもわかる通り、芸能界における覚せい剤などの違法薬物の汚染が深刻であるという事実が現に存在するものである。西田敏行さんも一時、体調を崩されたのか、急激に痩せてしまって、それが覚せい剤使用による影響ではないかとネットで噂されていたことは、私も知っていた。しかし西田さんほどの知名度がある俳優であれば、そのような情報が出ているのであれば、ホームページ上でちょこちょこと警告するのではなく、きちんと記者会見を開いてそのような事実はないことを世間に説明した上で、今後そのような情報を拡散させた者には法的に毅然とした対処をすると申し伝える手順を踏むべきだったのではないか。所属事務所のホームページなど誰も見ていないであろうことは、承知の上のはずである。それをいきなり警察に被害届を提出するという態度は、有名芸能人としての道義にもとるものではないのか。元プロ野球選手の清原氏なども逮捕されるまで、覚せい剤使用の噂は週刊誌やネット空間などで流れていたものである。清原氏は絶対にそのような事実はないと断固として否定し続けてきたものであったが、仮に清原氏が警察に風説流布による被害届を出していれば、西田氏と同様にブログ記事を書きこんだものは検挙されることとなっていたのか。我々一般市民には捜査権などないのであるから、言ってみれば情報と言うものは全て、想像とか憶測の域を出ないものである。清原氏が黒で、西田氏が白であったとしてもそれは結果論に過ぎないのであって、現実に芸能界の覚せい剤汚染の事実があるのだから、一市民の想像や憶測が罰せられるよりも、芸能人自身の説明責任や芸能界全体の自浄化推進に重きが置かれなければならないのは当然のことではないのか。
ヘイトスピーチ条例にせよ、芸能人の薬物使用情報にせよ、要するに理由は何でもよいのである。今の政治や政治を含む様々な権力機構は、ネット空間で市民が主導権を持って政治の腐敗を暴いたり、虚構の本質を追及することに非常に危機感と警戒心を持ち始めてきているのである。それゆえにそのようなことを口実にして、政治やマスコミが主導する流れとは異なる感覚、意識というものを弾圧することで、市民がネット空間で権力に気兼ねなく、自由に意見を言うことが難しい雰囲気を作り上げようとしているのだと考えられる。日本の政治やマスコミの手口はパターン化しているので、そういうことはそのような意識を働かせて考察すれば、すぐにわかることなのである。特に若者に訴えたいことだが、是非、そのような政治やマスコミの誘導を即座に見抜く目を日々の生活の中で養って欲しいと願うものである。